ふたり

ゆかと敬は全く違う人生を歩んできて別々に死んだ。男と女が入れ替わり新しい人生が始まった。

初めの一歩1 

 生活が一転した。私は8時に起きて立そばを食べて金子探偵事務所に9時きっかりに飛び込む。ジーパンではなくリクルートスーツを買ってきている。男だったころは一度もスーツなど着たことがなかった。敬とシオンは12時過ぎに起きて、二人で『橋本』で昼食をとる。夜は8時に『橋本』で一人寂しくビールを飲む。敬が来るのは9時を過ぎてから。シオンは10時だ。
「ちょっとこちらに来てくれ」
 金子探偵が声をかける。もう一人の女事務員は法務局に出かけている。金子は意外に優しい。コーヒーに凝っていて私にもドリップで入れてくれる。
「小山さんから添削が戻ってきてる」
 これは『ある日』を詳しく思い出して書いたものだ。だが赤線と書き直しで真っ赤かだ。
「彼が言っているのは君のためだ。場所を特定しては危険なのだよ。年齢もダメだよ」
「そうか」
「きっと病院や公安は君を探している。彼も首になった原因はスポンサーの不祥事を記事にしたのだよ。本来ならいい大学を出ていたからエリートコースだったのにな。大阪に来たら時々通天閣で飲む」
「私は元々ボウフラみたいなチンピラでした」
「女になった気分は?」
「あまりよくない」
「あのアキラとは?」
「ただの嫌な奴よ」
「これは小山さんが気にして内緒にしていたことだけど、私は事実を知っておくことが身を守ると思うので話す。私たちが病院の建物に忍び込んだ日、そのアキラは全裸で莚の上に寝かされていた。必要な体ではなかったのだ。すでに薬で殺されていたのだろう」
「殺されていた?」
「翌朝アキラは襤褸切れのように焼却炉で燃やされた」










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2017/03/20 Mon. 07:09  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

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