ふたり

ゆかと敬は全く違う人生を歩んできて別々に死んだ。男と女が入れ替わり新しい人生が始まった。

本丸6 

「敬、幽霊同士戦ってみるよ」
「ああ。どうすればいい?」
「あの二人の夢の中に入って草の径に引きずり込むのよ」
「そんなことできる?」
「分からない。でも広いところで戦っても力を使うだけな気がする。それと体のない同士でもパンチがきくのかしら?」
「でもゆかに抓られると痛い」
「でも敬に抓られても痛くない」
 いつの間にか通天閣の王将の碑のそばに立ている二人を見た。ほとんど同時に体の中に入る。いや体の中ではなく夢の中だ。私が入った女性の腕を引っ張って私の夢の径に引き込む。
「やはりここにいたのね?」
「なぜ逃げた?」
「殺し屋の集団よ」
「そんなことはどうでもいい。成功すれば大きなマンションに住まわせてくれる」
 敬が必死で男を引っ張っている。私は相手の男に殴り掛かる。不思議に拳が当たった感覚がある。相手も殴り掛かるが私の中をすり抜ける。どうも私の方が完璧なんだ。
「敬手伝って。この二人を縛るのよ」
「そんなことができる?」
「夢の中でも心は縛れるのじゃないかと思うの」
「でもどうなる?」
「分からない」
 私はワゴンの中で目を覚ます。敬はまだ寝ている。
「どれほど寝てた?」
「5時間ほどだ」
「そんなに寝てた?冴は?」
「大阪で応援が取れたので『Mオフィス』に裏ビデオの捜査で入ると言っていた」







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2017/04/30 Sun. 06:49  edit

Category: ミステリー

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本丸5 

 敬に前も後ろも入れられ興奮した。陽が昇るまで続けていつの間にか眠った。やはり二人は体を触れ合うことで充電されているようだ。
 8時過ぎに金子がワゴンで現れた。その後ろに冴の車がある。私は眠そうな目で敬と車に乗り込む。『Mオファイス』のビルの地下の駐車場に停める。冴と金子がビルに入ってく。女刑事が2人こちらに移ってくる。見張ること1時間弱で冴から携帯が入る。今あの年上のカップルが入ったと言うのだ。
 私と敬はソファーに横になる。敬が体から出てくるのが遅いので、夢の中に入って連れ出す。次の瞬間『Mオファイス』の部屋の中にいる。見慣れた風景だ。応接に入るとあの二人が座っている。
「どうだ。二人はまだ見つからないのか?」
「今日から体を抜け出して目星を入れている通天閣の周辺を調べてみます」
 確かにあの二人だ。敬と私が顔を見合わせる。もう二人はソファに横になっている。テーブルの上の地図を覗き込む。シオンがいたカラオケ居酒屋の周辺にマークが入っている。私は慌てて敬の手を引っ張る。ここで体を抜け出して来たら顔を合わせてしまう。
「いたか?」
 金子が運転席に戻っている。
「今から通天閣に向かって」
「どうする?」
「彼らも体から抜け出せる。取りあえず能力を確かめてみる。冴は応援を頼めるかな?」
 冴えが助手に乗っている。
「どうするの?」
「今日ではなくていいの。二人の能力を確かめたら体を確保してほしいの。体を確保したら長期的には動けなくなる」
「でも体を抜け出すのじゃ?」
「でも体に帰らないと力が衰えてくるなずよ」
「分かった。本庁に相談してみる」













2017/04/29 Sat. 06:45  edit

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本丸4 

 公安との追跡劇でしばらく東京から姿を隠すことにした。それは言い訳で冴を口説いて大阪行きを認めさせたのだ。ワゴンには冴の他特捜の女性が2人が乗り込んだ。大阪には翌朝について阿倍野のホテルを隣同士で取った。その日『橋本』に冴と同席する。ここには2卓だけテーブルがある。前には金子探偵が座っている。
「さあ食べてよ。これは敬が作ったのよ」
とみよちゃんが運んでくる。ビールが抜かれて乾杯する。
「あの看護婦男にされていたよ」
「病院に潜ったのか?」
「ええ、あそこはもうすぐ福島に移動されるよ」
「どうする?」
「総理と反主流派の戦いになるよ。もう始まったけどね」
 テレビにその総理の顔が映っている。過去の予算を見直すと発言したようだ。
「どう美味しい?」
 敬が私の首に抱き付いている。久しぶりの匂いだ。
「明日は『Mオフィス』に忍び込む。そのためには東京からでは気力が続かないの。ここに体を置いていかなければね?それと敬の力も借りたい」
「いいよ」
「冴今日は敬と泊まるよ」
「いいわよ。昨夜頑張ったからね?今日は充電するのね?」
「なんだか卑猥な話をするな」
と一人金子が頭を掻いている。






2017/04/28 Fri. 06:44  edit

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本丸3 

『『Mオフィス』に似顔絵のカップルがいる。社員ではなく、毎日顔を出すがどこかを歩き回っている』
 金子から携帯がある。
『敬はどうしてる?』
『体の調子が今一で自転車を乗るのは休んで調理場に入っている』
 一度大阪に戻ろうと思った。どうも体を合わせていないと体調がおかしくなるようだ。私も同様の症状が出ている。私達は二人で生きていくように作られているのだろう。
 今日は冴と特捜班2名と車に乗って内閣府に行く。この段取りで内閣府顧問が動いていた。今日は内閣府は特捜チーム30人が警備をしている。
「ここからは私も入れないのよ」
と言って冴が手を振る。
 部屋には内閣府顧問が横の席に掛けている。腕時計を見ている。部屋に入って30分が経っている。ドアが開いてテレビでよく見る総理の顔が入ってくる。
「君が男の子だったゆかというのだね?」
「はい」
「何とか君たちを無駄にしない結果に結び付けたいし、今のようなことは辞めさせたい。だが」
「総裁選があるのですね?」
「これは一部のものしか?」
「私はどこにでも行けるのです」
 たった10分の対談だった。内閣府を出ると急に黒い車がぶつけてきた。私の載っている車は細い路地を曲がって猛スピードで走る。後ろには3台が追いかけてきている。さらに路地を曲がるとその後ろにダンプカーが挟まった。どうも想定内のことだったらしい。








2017/04/27 Thu. 06:47  edit

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本丸2 

 敬にはそちらに2番目のカップルが捜査に参加したと忠告した。敬にはカップルが1年以上生きた実績がないことは伝えなかった。その1年が近づいてきている。2番目のカップルもその1年を迎えるころだろう。金子には同じ情報とカップルの似顔絵を書いて送った。
 久しぶりに前嶋病院に潜った。あのリビングを懐かしそうに覗いた。だがカップルは1組だけで私の知らない新入りだ。私のいた部屋に入る。カプセルにまだ包帯を巻いた男が寝かされている。新しい検体だ。その体に入り込む。夢の中はベットで裸の女が男たちと3Pをしている。これはあの看護婦だ。やはり手術されたのだ。
 それから医院長の部屋に入る。机に向かって何か書類を書いている。移転計画書だ。今年の2か月前からすでに移転が始まっている。移転先は被ばくした福島の中だ。村の名前を覚える。移転費は160億、移転期間は2年。だがこの予算が現政権では出にくいようだ。
「ああ、代表ですね?予算は通らないのですか?」
「今回の総裁選で総理の交代後だな。まず使わない設備から移してくれ」
 総裁選?医院長は書類を閉じると金庫を開ける。この金庫には『メランゲ』と同じバリアーが張られている。金庫の中から通帳を出してくる。あれが死んだ医師が取ったコピーの通帳だ。真横から覗き込む。今年は振り込みが50億に減っている。それに残高は12億しかない。
 私はその部屋から離れると、カプセルの棟に向かう。棟の前には大型トレイラーが停まっていて、作業着の男たちがカプセルを積み込んでいる。ボディガードが周りを取り囲んでいる。建物の中のカプセルは半分ほど空になっている。私はカメラを構えると何枚も隙を見て撮りまくる。
 いよいよ前嶋病院を隠す気のようだ。この写真はすぐに小山に送ろう。





2017/04/26 Wed. 06:22  edit

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本丸1 

「目が醒めないので心配してたのよ」
 冴の顔があった。
「やはり公安の別館が『メレンゲ』の本部だった」
「私も成果があったわよ」
 パソコンにUSBを入れる。3日間の『メレンゲ』の出入りを撮っている。冴が編集した映像を見せる。
「これが『メランゲ』の代表よ。もう80歳になったそうだわ。4代前の総理の時は内閣府にいて、3代前には公安に移って『メランゲ』の代表に。この横に写っている60歳代の男が公安のトップよ」
「公安はすべて『メランゲ』の巣なのね?」
「それと前嶋病院の医院長も最後の日には顔を見せていた。その日は何か重要な話があったようよ。この男は与党の藩士流派のボスよ」
 私はポケットからカメラを出してパソコンに繋ぐ。拡大してページを繰っていく。
「『メレンゲ』は前嶋病院の生体実験を契機に作られたようね?今の前嶋の娘の死に対して生体実験をして生き返らせたとあるわ」
「15年前よね?だが僅か6か月で死んだ。それから5年かけて研究を続けて当時の検査を分析している。その果てに第1号のカップルの生体実験を私的に行った。この時にあの殺された医師が初参加している。男女を入れ替えることを彼が提案した」
「これがその時の事例説明ね?第1号はゆか達ではなかった。彼らは1年生きた。体を抜け出すことにも成功している。だが子供を産んだ時に女性は死亡。男性は気が狂い自殺したとある。この論文が『メランゲ』を生んだの」
「研究班に回すわ」
「これ一部小山に回していい?」
「もう警視庁と公安の戦争は始まったからいいわよ」







2017/04/25 Tue. 06:48  edit

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メレンゲ12 

 夜になるまで資料室に隠れていた。体を抜け出しているときは空腹にはならない。だが寝たままの体は衰退していく。離れすぎると戻れなくなるかもという恐怖がある。マニュアルというのがないのだ。やってみて経験していく。敬には私から教えている。
 隣の研究室に入ると5つのベットにみさきと男性が寝ている。後の医者は帰って行って誰もいない。あのパソコンも切られているのでバリアーはもう切られているのだろう。まず安全のためみさきの夢の中に入ろう。外で会うのはまだ危険だ。
 みさきの夢の中は暗い部屋の中だ。ここではみさきは男の子で絵を描いている。テーブルの上にはカップヌードルが何個も空いていてポットがある。絵は母親の顔のようだ。
「みさき?」
「誰?」
「ゆかよ。覚えてない?」
「ゆか?」
「病院のリビングであったし、抱いてあげたの覚えている?」
「思い出した!二人が逃げ出して大変だった。ここでも探しているよ」
「みさきも体を抜け出せるようになったのね?」
「でもまだ部屋から出れないし、彼は全く駄目」
「他の子達は?」
「一番上のカップルは実験中死んでしまったわ。でも2番目のカップルは成功してここからも出て大阪にゆかを探しに出ている」
 これは敬に注意しておかなければ。
「私に会ったことは話さないで?」
「はい。でも時々会いに来てくれる?」
「いいよ。病院の方では新しいカップルが?」
「それがマスコミが煩くなって新しい検体が来ないって言ってたわ」









2017/04/24 Mon. 06:49  edit

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メレンゲ11 

 冴に特殊な小型のカメラを借りた。冴は先に公安の建物に向かった。私は体から抜け出すと公安の別館の建物の中に入った。冴は3日前から公安の前のビルで出入りする人を撮影している。1階から5階まで見て回るが4階の資料室で足を止める。ここに入った女性の顔に見覚えがあった。
 だが資料室を見渡したが見当たらない。かなり広いが中に誰もいない。入口から出た気配がないが出口はどこにもない。資料のロッカーに前嶋病院というプレイトが着いたのがある。ロッカーの中では大きい方だ。新しい職員が入ってきてこのロッカーの鍵を開ける。そこからファイルを出してきて棚で調べているようだ。
 私は1冊のファイルを開いて覗き込む。これは4代前の総理の時に『メレンゲ』ができた経緯が載っている。私は取りあえず何ページもカメラを撮った。そのうちに職員が動き出してロッカーを閉めた。私は慌てて見えないのに棚の横に身を隠す。壁が開いて先ほどの女性が出てくる。この奥に部屋があるのだ。
「今日は検査の日だね?」
「ええ、でも病院にいるより楽しいわ」
 みさきだ。前嶋病院で最後に会ったカップルの女性だ。あの男性はどうしたのだろう。みさきがファイルを手に壁の中に戻る。私は壁をすり抜ける。中にはベットが5つも並んでいてその後ろに机が並んでいる。白衣の医者が3人、ベットにはあのカップルの男性が寝ている。
 みさきが呼ばれてベットに入る。私は慌ててテーブルの下に隠れる。みさきは私と同じように体から抜け出せるのだろうか。それなら私が見えるはずだ。
「よし、体から出たぞ」
 パソコンを見ている医者が合図を送る。ここには特殊な電波が張られていて、パソコンにみさきのハレーションしたような姿が映っている。この範囲には近寄れない。カップルの男は体を震わせているが、体から抜け出せないようだ。







2017/04/23 Sun. 07:07  edit

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メレンゲ10 

 看護婦は救急車であの病院に運ばれたようだ。余程検体が不足しているようだ。看護婦も男にされるのだろう。
「どう調子は?」
「やはり長距離移動は駄目ね?今日は検査を休みにして」
「私もこれから編集室に出かける。公安がね、踏み込んで原稿や資料を運び出した。かなり焦っているわ」
「小山は?」
「またホテルを移動したよ」
「シオンは?」
「AVに出るようだわ。これ見て1万回の視聴があったらしいけど今は消されている。警察で手に入れた」
 これは『Mオフィス』で撮られた全裸映像だ。ぼかしも入っていない。
 冴が部屋を出ると鍵をかけて机の下のダンボール箱を引き出してくる。看護婦が持っていた鞄から拝借した袋だ。通帳のコピーに通帳と印鑑にカードだ。コピーには4つの数字がメモされている。コピーはとんでもない数字が並んでいる。どうも『メレンゲ』からの振り込みが並ぶ病院の通帳だ。そしてこちらの通帳はあの医師が無断で引き出していたお金が貯まっている。5億もある。
 この殺された医者のこの通帳はうかつには触れれない。恐らく引き出したことがばれて殺されたのだからこの通帳も見張られていたのだろう。看護婦は引き出したに違いない。
『『メレンゲ』の本部を見つけた。これは警視庁のチームから送られてきた資料の中で12か所の場所を調べて回った。何と公安の建物の別棟にプレートのない5階建てものがある。ここは4代前の総理の頃は内閣府にあったのだが、3代に移った時にここに移っている。職員は100名くらいいるようだ。それで相談だがここに潜入してほしいんだ』
と小山から地図を添付したメールが来た。
『いいよ』
とメールを返してそのままベットに潜り込んだ。













 

2017/04/22 Sat. 07:12  edit

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メレンゲ9 

 遠距離移動で大阪に行く。金子のワゴンに敬が乗っている。敬は体のある生身だ。金子の報告の質問をするには敬の仲介がいる。
「このマンションに看護婦が監禁されている。やはりいつかの『Mオフィス』の社員が2人交代で監視している。初日に発信機が止まった。荷物が調べられたのだろう」
 これは金子が敬に向かってしゃべっている。
「いつからここに?」
 ゆかの声は敬には聞こえるが金子には聞こえない。これをもう一度敬がしゃべる。
「3日目だ。今日はいつもの2人に見知らぬ男が入った」
「私は行く」
 教えられた部屋に入ると予想通りの光景が展開している。看護婦は全裸で大股開きで寝かされている。男がカメラを回している。部屋には札束の入った段ボール箱が置いてある。鞄の中身が新聞紙の上に丁寧に並べられている。それから彼女の服や下着が並べられている。何かを探しているのだろう。
「昨日は膣の中に内視鏡を入れたし、アナルは浣腸をしてすべて吐き出した」
「だが君らは遊び過ぎだ」
とこの男は裸の看護婦の腕に注射を刺した。
「それは何だ?」
「公安ではよく使う誘導剤だ」
「彼から貰ったのはこの札束だけか?」
「お金だけ」
「この鞄は?」
「それに入れて貰った」
「この鞄の内側に切られた跡がある。そこに何があった?」
「知らない」
 私が抜き出したものだ。すっかり忘れてダンボール箱に入っている。







2017/04/21 Fri. 06:57  edit

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メレンゲ8 

 看護婦の話はまだ小山にも冴にも話していない。金子もどうも彼女が解明のカギを握るのではないかと思っている。小山に話すとすぐに記事にしてしまう。私は多摩の精神病院に着いてから毎日検査が続いている。病院の一室が『メレンゲ』の特捜チームの隠れ家になった。医師も入れて7名のメンバーがつめている。
『看護婦が消えた』
 金子からの携帯だ。
『どうしたの?』
『発信機の移動があったので病院に行った。そしたら何も告げずいなくなったと受付で言われた。荷物はすっかりなくなっていたよ。それで昨日は発信機を追って大阪に出た。『Mオフィス』が絡んでいるようだ』
『大阪に行こうか?』
『まだいい。病み上がりだと敬から聞いている。もうしばらくこちらで調べてみる』
 今日は8時まで検査が続いた。ようやく部屋に帰ってきて夕食だ。冴が食事を持って入ってくる。私は外出禁止なのだ。彼女と私は同室にいる。冴は冷蔵庫からワインボトルを出してくる。
「これは先ほど警視庁から聞いたのだけど、あの隠れ家が襲われたそうよ」
「シオンは?」
「すでに小山が別の部屋に移していた。報告では公安が来たようなの。動きが派手になってきたわ。それと殺された医者の捜査も始まったわ」
「あの極秘ファイルは出せないの?」
「あれは駄目だと上からあった。公安が不正アクセスで調査を行っている。『メランゲ』の代表は総理でも手ごわい反主流派と組んでいるの」
 冴はもう唇を合わせてくる。



2017/04/20 Thu. 06:50  edit

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メレンゲ7 

 三宮の看護婦のところに行ってから1週間がたった。遠距離移動は予想外に体力を消耗するのか戻ってきてから寝込んでいる。
「どう起きれる?」
 冴がタオルで体を拭いてくれる。彼女は昨日は一日警視庁に出ていた。新しい下着に着替えて冴えが入れてくれたコーヒーを飲む。
「新しい記事が出たよ」
 小山は今回思い切って電車に飛び込んだ男を自殺ではなく他殺だと書いている。監視カメラの押されている姿を拡大して載せている。
「警視庁は捜査を開始したわ。それで『メランゲ』という特捜チームが編成された。私も一員になった」
「私は?」
「今多摩に精神病院を見つけて、ここに特捜チームとゆかを移すわ。ここで検査も続ける。いよいよ総理のゴーが出たみたいなの」
「歴代の総理が引き継いできたことを暴かれるの?」
「内閣府顧問が総指揮をとる」
 日が暮れてワンボックスが迎えに来た。戻ってきていたシオンと別れの挨拶をした。車には運転手と私と冴とボディガードが2人乗った。後ろに私のダンボール箱を積み込んだ。
『どう元気?』
 敬からのメールだ。
『私もゆかと同じように今日まで寝ていた。どうもゆかが調子が悪いとこちらもダメみたいだよ。早く良くなって』
『安心して、もう回復して新しい隠れ家に移っているところよ。政府が正式に調査を開始する子t後に決まった。敬も気を付けてよね』





2017/04/19 Wed. 07:04  edit

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メレンゲ6 

 金子の調査であの看護婦がいることが分かった。それで私は冴に遠距離移動をすることを伝えた。約束通りに昼にあの病院の壁の横の車に入った。金子が運転席で弁当を食べている。後部席には敬が毛布に包まって寝ている。すでに敬は抜け出していてさっそく二人で鉄格子の門を潜り抜ける。
「みよちゃんと仲良くやっている?」
「でもゆかがいないと寂しい」
「この事件を済ませたら帰れるよ」
 部屋の中は薄暗い。それぞれに部屋には窓に格子が付いている。8人部屋が5室、2階には個室が8室。個室の1つであの看護婦を見つけた。ここはまだ若い青年だ。両手が皮バンドでベットに縛られている。看護婦はパジャマのズボンをずらせると慣れた手つきで口に咥える。白衣のまま跨る。パンツを履いていない。
「相変わらずね?」
 1時間も続くプレイに飽きてベットで座り組む。ようやく終わって院内の食堂に行く。2階にあり終わると看護婦は個室に行く。どうも住み込みのようだ。ポケットから携帯を出してきて打っている。あの医師に連絡を入れている。だが繋がらない。
「騙された?」
と呟いている。まだ死んだのは知らない。ベットの下のダンボール箱を引き出してくる。下着を退けると医師から渡された鞄が出てくる。私と敬が顔を突っ込んでいる。鞄の中に札束が詰まっている。
「ドアをノックして」
 敬がドアに動いて力を込めてノックする。看護婦は反射的にダンボール箱をベットの下に押し込んでドアを開けに行く。私は鞄の縫い付けられた膨らんでいる部分に指を入れて布袋を取り出した。



2017/04/18 Tue. 06:48  edit

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メレンゲ5 

 制服を着た冴に体から抜け出した私がピッタリ付いている。冴の腕を握ると冴が吃驚するように振り返る。耳元で囁く。
「これが私の能力よ。どこへ行く?」
「特殊班が死体の指紋を調べた。彼は7年前に患者をミスで死なせて裁判を起こされて5年の実刑を受けた。それがどの刑務所にもいない。記録も見れないようになっている」
 ここは警視庁の中だ。彼女はどんどん中に入って警視総監のプレートのある部屋に入る。だが誰もいない。
「話を通している」
と言って時計を気にしながらパソコンを開いていく。特殊な暗号を入れると画面が開く。そこにあの医師の名前を入れる。
 あの医師の少し若い頃の写真が出てくる。彼は整形医師で男を完全に女にすることでは権威だったようだ。だが性転換の失敗で女になった男が飛び降り自殺をしたのだ。
「『メレンゲ』が彼を救い出してプロジェクトに参加させた。そして前嶋病院に送ったのよ」
「どうするの?」
「内部告発は今できない。それであの週刊誌に載せてほしいの」
と言ってUSBを差し込む。
「でも小山さんが危なくない?」
「特殊班が隠密に警備している。でもなぜこの医師が処理されたのか原因がわからないのよ」
「気になることがある」
 私は戻ると金子にメールを送った。
『あの発信機の三宮の病院を調べてくれない?新しく入った若い看護婦がいるかどうか?』
 それから今日取ってきたUSBで原稿を作って小山に流した。






2017/04/17 Mon. 06:57  edit

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メレンゲ4 

 冴とシオンと私は誰からともなく3Pを始めた。朝冴が目を覚ましてトーストを焼いてコーヒーを入れてくれる。シオンはまだ全裸で布団に包まっている。ドアがノックされて開けると小山が大封筒を私に渡しにやにや笑っている。冴に起こされてつんと立った乳首を見せて座っている。
「いつものことだ。服を着たら車に乗れ。会社に行くぞ」
 シオンは冴が出ると携帯で本庁とやり取りしている。私は大封筒から5紙の新聞と手紙が入っている。顔写真が載ってるのは2紙で明らかにあの医者に間違いない。サラリーマン風の男が2日前の朝8時に新橋駅から快速に飛び込んだとある。どの新聞も自殺と書いている。だがこの時点で身元は不明だ。
「ゆか、昨日警視庁のあの部屋が襲われた」
「警視庁が襲われる?」
「その恐れありと判断した通り」
「誰が?」
「監視カメラが切られていた。内部の犯行よ。重要なものを置いてなかった?」
「すべてこの鞄に入れている」
「こちらも今までの監視カメラのフイルムは隠していた」
 同じ警察で戦っている。
「ところでこの記事調べてくれる」
 すぐに携帯をかけて話をしている。
「身元は不明。警察は自殺としているが特殊班が駅の監視カメラを見ている。明らかに背中を押された映像があった。だが押した男はサングラスに深々と帽子を被っている。それでゆかの言う医者の確認を病院に入れたが、そういう医者は在籍がないとの返答だった」
 いよいよ『メレンゲ』は凶暴な顔を見せてきた。








2017/04/16 Sun. 06:50  edit

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メレンゲ3 

 朝一番小山の車がホテルに来た。そのままゆかと冴を乗せて車が走った。
「今は政府はこちらの主張についての確信が持てないでいる。それに『メレンゲ』が組織を動かして圧力をかけてきている。まず姿を隠して次の攻撃をするしかない。刑事さんはどういう指示を?」
「同じです」
「しばらくここで大人しくしていてください」
 車が工事現場の中に入っていく。
「ここは立ち退き交渉中の建物です。私が記事を書いて支援している部屋の一つです」
 エレベーターも止まっていて階段を5階に上がる。
「わ!ゆかが来た」
 そう言って飛びついてきたのはシオンだ。部屋の中は布団が敷かれたままだ。
「シオンは小山さんとやりまくっているのじゃないかと思っていた」
「女が駄目なの。欲求不満で気が狂いそうよ。昼は事務所で校正ばかり。あなたは?」
「刑事さんよ」
「へえ、でもその腕怪しいな。ゆかと出来ている?」
「はい。私はゆかが大好きです」
「まあ、そのことは後で」
 私は壁にもたれてため息をつきながら携帯を見る。
『ゆかがナンバー2と言っていた医者の顔を思えているか?』
 金子からだ。新聞の写真が送らてきた。
『そうだ。この男だよ』
『明日詳しい資料が小山から届く見てほしい』










2017/04/15 Sat. 19:19  edit

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メレンゲ2 

 街中に降りて角を曲がった時に冴が私を押すように扉を出た。そのまま前にあった喫茶店に入る。ゆかが乗っていた車を追いかけるようにワゴンが走る。その後ろをサイレンを点けた覆面パトカーが曲がらずますぐに走る。
「公安があの車を押さえてもゆかがいなければ」
「どうするの?」
 冴は顔色を変えることなくコーヒーを頼む。
「しばらくこちらに戻るなと言われたわ」
「どうして?」
「警視庁にも公安の息のかかったのがいるようで、内密に調べられているようなの」
「でもこちらは内閣官房参与が動いているのでしょ?」
「まだ隠密調査なの。『メレンゲ』の代表は警視庁でも力がある。どうも内閣官房参与が動いていると言うのはばれたみたいだわ」
「そういう複雑な力関係があるのね?どうする?」
「陽が落ちたらラブホテルにでも泊まろう。今後どうするか話をしてみるわ」
 ホテルに入ると冴はすぐに裸になって私を引っ張ってシャワーを浴びて、そのままベットに飛び込む。どうも凹凹に嵌ったようだ。
「ゆかには悪いけど私にはラッキーだわ。ワイン空ける?」
『今警察から電話があった。どうも『メレンゲ』が動き出したようだな。どこに泊まっている?』
 小山の声だ。
『朝にはそこに向かう。女刑事といるんだな』
 小山と警察庁のあの上司と話は出来ているようだ。








2017/04/14 Fri. 06:57  edit

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メレンゲ1 

「疲れているようね?」
 移動の車の中で冴が言う。
「今日はどこに?」
「筑波の研究室に向かっているわ。ちょっと恥ずかしいけど気にしないでね?」
 研究室の入ると全裸になってドームの中に入る。研究室には男の医者もいる。ドームから出されると膣の中にカメラが入る。
「よくできている。この技術は今の日本にはないものだ。だが確かに男を女にした形跡は残っている。だが実際に子供を産めるのかどうか?」
「これはやりがいがありますね?」
「こういう技術に国家が大きな金を出していたのだな」
「だが週刊誌を見れば相当の生体実験をしたようだな」
 丸一日の実験はさすがに疲れる。車の中ではいつの間にか眠ってしまう。どれほど眠ったのか、急に車が大きく揺れた。運転手の他に私服の警察が冴を入れて3人乗っている。
「ゆか目を覚まして」
 後ろから黒のワゴンが車をぶつけてきた。
「次のところで高速を降ります」
 運転手が思い切りハンドルを切る。冴は携帯しているピストルを握っている。
「応援を頼みますか?」
「やめておけ!ワゴンの後ろに公安の覆面パトカーが付いている。『メレンゲ』が動き出した。このコースを走れ」
 冴が携帯で何やら話している。










2017/04/13 Thu. 06:23  edit

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踏み込む11 

 敬の草の径に出るのに時間がかかった。遠距離移動は確かに疲れるものだ。だが草の径にはもう敬がっ立ている。
「もう来ないかと思った」
「凄いパワーがいるよ。久しぶりにゆかを抱きたいけど、体がないと感じないものね」
 敬の夢から出るとそこには敬とみよちゃんが並んで寝ている。
「これからどうなるの?」
「私にもわからない。実験はされるけど殺されることはないよ。でもこの作業が終わったら自分がどうなるのかわからない」
 私は寝ている敬の下半身から小さくなっているものを掴む。先が濡れている。
「寝る前にやった?」
「ああ」
 心が抜け出していてもそこは立ち上がってくる。
「料理を習いだしたそうね?」
「鰯をさばけるよ」
「一度食べてみたいわ」
「この状態では無理だね?」
「敬は東京に出て来ずここで幸せになったら?」
「でもカップルでの実験も必要だろ?」
「敬はみよちゃんと夫婦になって居酒屋を継げばいいよ」
「でもゆかとは離れないよ。二人は一体だよ」
「そうだね」
 私は敬の手を握ると力を入れた。敬も力を入れたようだ。握り合った感触がある。







2017/04/12 Wed. 07:02  edit

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踏み込む10 

『携帯を返してもらった。探偵は大阪に戻ったの?』
『ああ、シオンはしばらく小山の助手になる』
『子供ができるよ』
『確かに。敬は『橋本』で元気にしている。親父さんに調理を教えてもらっているようだ。ゆかがいなくなったから特殊捜査ができなくなったので困っている。それと小山の記事のチェックはこの携帯に入る。だが現政府がこのプロジェクトを推進していなくてよかったな』
『これからどうなるの?』
『よくわからないが、政府も全容を調査してからだそうだ』
 それから敬に携帯を入れる。昼前だから敬は出前をしている頃だろう。しばらく繋がらなかったが向こうから携帯が入った。
『ごめんね。出前で自転車で走り回っていた。どうしてる?』
『まだしばらくここで政府に協力する。みよちゃんが泊まっているの?』
『そうだよ。セックスしてないと落ち着かないんだ。妬ける?』
『こちらもいい相手見つけたから心配しないで』
 二人とも自分たちがセックスマシーンだと知っている。あの実験では子供を産ませようとしていた。みさきはどうしているのだろう。
『この間に遠距離移動の訓練をしようと思っている』
『遠距離移動?』
『また草の径に敬に会いに行くよ』
 携帯を置くとまた小山の記事のチェックを始める。今日は早めに寝て敬の夢に入る。







2017/04/11 Tue. 06:22  edit

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踏み込む9 

 朝制服を着た冴が部屋に迎えに来る。昨夜の冴とは別人のようだ。エレベーターに乗って地下の駐車場に着く。黒塗りの大きな車にあの年配の男が黙って座っている。私がその横に座り、冴が私を挟むように座る。制服の運転手に冴の上司が助手席にいる。
 車がゆっくり走りだしてそれ程時間の経たない間に国会議事堂の中に入っている。守衛が出てきて敬礼する中廊下を歩く。冴は私の腕をつかみ犯罪者のようだ。誰も口をきかない。一番奥の内閣官房管参与と言うプレートの部屋に入る。
「書類は見た。これは事実かね?」
「はい。でもまだ調べることが山のようにあります」
 年配の男が初めて丁寧な言葉でしゃべった。参与の横に書記が座っている。
「こちらも調べてきたが、どうも4代前の総理の時代にこのプロジェクトが始まったようだ。今の総理は全く知らない」
と言ってファイルを渡す。『メレンゲ』とファイル名がある。
「『メレンゲ』とはナチス時代の人体実験ですね?」
「こんな研究所があるとはね。ここではいくつかの研究をしている。あの前嶋病院も初期からのプロジェクトだった。毎年100億の予算が立てられている。この代表は当時の内閣官房副管だ。今でも党の中で力を持っている。それで誰も手を出してこなかった」
「総理は?」
「調べろと言うことだよ。君がゆかだね。検査の協力をお願いする。でも思ったより可愛いお嬢さんだ」
 それだけで階段は終わった。再びあの部屋に戻された。2時間ほどして私服の冴が入ってきた。いつもの表情に戻っている。コーヒーを入れてくれてテーブルに向かい合う。
「今日からゆかもここの同僚になる。ちゃんと給料も出るよ。携帯も返すわ。でも安全のためにしばらくここにいてもらう。それとたまには抱いてね?」




2017/04/10 Mon. 06:48  edit

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踏み込む8 

 次の日から車に乗せられて病院で検査漬けだ。この3日朝から晩まで繰り返された。常に彼女が付いている。
「まだ続くの?」
「一般検査は終わったけど、日を空けて特殊能力の検査をお願いすると思うの。でもあの小山さんとの約束は次はこの病院の調査よ。そのためには明日会っていただく人があります。この人がOKしないと調査は行えないのです」
「もう少し詳しく?」
「これ以上は言えないの。でも今日はビールを飲んで」
 冷蔵庫にはいつの間にかハムやチーズやビールが並んでいる。
「私ずっと検査に立ち合ってきたでしょ。私ね、ゆかに惚れちゃったの」
 私の目を見詰めている。
「それは不味いのでは?ここには監視カメラが付いている」
「これからは監視期間は終わり、私が消したわ。私ずっと我慢してきた。膣とアナルに指を入れてた時から。私はこの仕事をしてきたけど、心は男なの」
「いろいろあるね」
「私は冴。あなたより10歳も上のおばちゃんだけどいい?」
「私は元々セックスマシンとして実験されてきたから、食べ物を食べるようにセックスする」
「ゆかは凹凹したことある?」
 ビールで乾杯する。
「シオンとよくやった」
「私は妄想しているだけ」
「冴、裸にならない?」
 冴の体は筋肉で引き締まっている。
「凄い体ね。お腹も三段に割れている。指を入れてもいい?」
「う!」
 すごく敏感なようだ。シオンの体とは違う。冴の震えが伝わってくる。
「わー!」
 物凄い汐吹だ。私の顔がずぶ濡れだ。
「冴のおしっこ甘いよ」



 




2017/04/09 Sun. 06:52  edit

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踏み込む7 

「ここ警視庁じゃないの?」
 テレビでよく映るビルだ。こちらの車には制服の警官が乗り込んでくる。前の車に付いて地下に降りていく。もう口もきけないでひょっとして捕まってしまったのかと思った。何度か地下に降りるために傾斜を下っていく。
「ここで降りてください」
と言われて地下の扉を潜る。そこにエレベターがあり乗り込む。かなり上階まで上がって止まった。エレベターを下りて廊下を歩くとまた扉がある。扉が開くと私服の女性が出てくる。金子と私は顔を見合わせて中に入る。その先にまた廊下があり突き当りに部屋がある。
 広い部屋に円卓があり年配の制服の男性の横に私服の男が座っている。その横に小山が座っている。
「あなたが藤崎徹、通称ゆかですね?」
 横の女性が言う。
「元男性で今は女性?」
「はい」
「詳しい話はライターの小山さんに聞いている」
 今度は40歳くらいの私服の男が言葉を添える。
「あのシオンは?」
「あの彼女は発信機を外したので後で小山さんと金子さんと帰ってもらいます」
 女性がくすくす笑っている。どうやら彼女がシオンの発信機を膣から出したのだ。年配の男は口を利かない。
「私は?」
「しばらくこちらに残ってもらい協力をお願いします。彼女があなたをお世話しますから」
 事情が呑み込めない。彼女に連れられてまた廊下を歩き、扉を何度も潜り、エレベターを上る。それで部屋を開ける。ホテルの広いシングの部屋のようだ。
「裸になって」
「服を変えてもらうのと穴を調べさせてもらうわ」
 私もさほど裸になるのは恥ずかしくない。女履歴が浅いからだろう。裸になると背中を押され指が膣とアナルを掻きまわす。
「ビニール手袋は?」
「生でないとダメよ」









2017/04/08 Sat. 06:51  edit

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踏み込む6 

「トイレ済ませたか?東京に着くのは6時頃になる」
 私がトイレから戻るともう白いワゴンの姿がなくなっていた。
「見失わない?」
「ああ、これもう前に見えてきた。発信機も好調だ」
 向こう3台目にワゴンの屋根が見えてきた。
「シオンにメモを見せてきたよ。空ボトルにおしっこは嫌だわ」
「今小山から連絡が入った。交渉が付いたと言うことで東京の出口でシオンを奪うと言うことになった」
「奪う?」
 想像もつかない。
「そうだ。シオンだけ奪って別の車に乗せるらしい。後は発信機を頼りにその後ろを追いかけることになる。ゆか寝ていていいよ。東京の出口に来たら起こす」
 短時間に体を抜け出すと脱力感が残るようだ。どれほど寝たのか金子の声で目を覚ましたら、もう辺りは薄らと明るくなっていて車が渋滞している。窓の外を見ると5台先に白いワゴンが並んでいる。その横を黒い覆面パトカーが白いワゴンの真横に付いてマイクで側道に止めるよう言っている。それを待っていたように金子もハンドルを側道に切る。
「この車が連絡のあった車だ。後ろをついていく」
 覆面パトカーからは制服の警官が2人降りてきてシオンを乗り換えさす。それから後ろを点滅させながら出口をよけて高速から降りる。こちらの車も止められない。



2017/04/07 Fri. 06:16  edit

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踏み込む5 

 大阪を出たのは10時、金子はコーヒーを飲みながら黒眼鏡をかけて運転をしている。私は後部席で敬に携帯をかけている。
『もう寝たかと思っていたけど?側に誰かいる?』
『ああ、みよちゃんが泊まりに来ている』
『子供だけは出来ないようにね』
『実は最近になって昼の番組でも人体実験の噂が取り扱われているよ。あのフリーライターが書いている編集長も出てたよ。それに人体実験の死体カプセルの並んでいる写真も出ていた。本物だ。ここまで出て大丈夫なの?』
『どうも小山さんが新しい状況に入ったようよ。でもまずシオンを助けることよ』
「浜松に入る」
 その声で携帯を切る。前をゆっくりパーキングに入る白いワゴンが見える。
「どうする?」
「車を停めたら向こうの車に行ってシオンにこのメモを見せてくれるか?」
 『助ける。 ゆか・金子』と言うメモを渡す。運転しながら書いたのか?白いワゴンのずいぶん前に車を停める。車から運転手と医者が降りる。金子は私を残したまま車を出る。私は毛布に包まって車を出る。
「零さないよ!凄い臭いわ」
 女が叫んでいる横に空ボトルを膣にあてがっているシオンが起きている。私はシオンの頬を突いてメモ用紙を見せる。シオンは私がこうして現れることを知っている。気づいたようだ。うんうんと頷いている。
「精液は拭かされるしおしっこの世話までするなんてたまんないわ」
「そのしっこついでに捨てて来い」
 運転手が戻ってきてドアを開ける。
「下ろしてくれないの?」
「お前は下ろさない」
「うんこはどうするの?」
「したくなったらビニール袋を出してやる」






2017/04/06 Thu. 07:05  edit

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踏み込む4 

「何を入れたのですか?まさかシオンのものが懐かしくなった?」
「あほな!小型の発信機を膣の中に入れた。恐らくシオンをあの白いワゴンで伊豆の病院に運び込むつもりだ。行先は分かっているがもし見逃して違うところに運ばれたらお終いだ」
 チエは『橋本』に行って敬から私の荷物を預かってくれている。それから当分の携帯食を積んでガソリンも満タンに入れた。チエは一人事務所の仕事を引き受ける。金子は携帯で小山と念入りに打ち合わせをしている。私は白いワゴンを見詰めている。やはりワゴンもガソリンを入れたようだ。
「第3弾の記事が出たようだ」
「第3弾?」
「人体実験の調査を克明に載せた。あのカプセルの写真も載せたそうだよ」
「それでは大変なことになるのでは?」
「少し事情が変わったようだ。この仕事が終わったら東京に来てくれと言っている」
「でもこれは内閣府の中から金が出ていると?」
「そうだ。だから公安が動いている。詳しいことは東京に行ってからだ。まず記録を撮りながらシオンを救う。これがまず立ちはだかる壁だよ。動き出した」
 金子がゆっくりとハンドルを回す。前の白いワゴンにシオンが積み込まれた。
「後ろを尾行するのはなかなか難しいのだ。出来る限りバックミラーの視界を取る」
と言って作業服に黒眼鏡をかける。
「運転手の見せかけを繰り返すのだ。一人で尾行してきた経験だよ」








2017/04/05 Wed. 06:46  edit

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踏み込む3 

「目を覚ましたか?」
 金子の顔が覗いている。
「今手術室に入っている。懇意にしている看護婦に部屋に監視カメラをセットしてもらった。ここで殺される危険はないのだな?」
「適性検査をするようだわ。運び方はそれから考えると」
「小山と話したがシオンは助け出すがぎりぎりまで記録を撮りたいと言うことだ」
「ぎりぎりって?」
「可能な限りあの病院に着くまでだ」
「難しいよ」
「でも今の状態も難しい。まず買ってきた弁当を食べてそれから個室に行ってほしい」
 弁当はチエが買ってきたようだ。
 2時間ほどするとその看護婦から携帯が入った。私は毛布にくるまって眠る。金子は医師の格好になり病院に入ってく。私は次の瞬間個室の中にいる。シオンの寝ているベットに女とあの医師が座っている。
「検体として適正だ。寝させたまま運び出す。今回は公安を通さないことになった。私も一緒にワゴンに乗って病院に行く。そちらは運転手と君が乗れ。事務長に金を渡して処理を頼んでくる」
 医師が出た入れ替わりに金子が白衣を着て入ってくる。
「心臓が弱いから調べてくれとのことです」
と言って胸を拡げる。聴診器を当てているが隣に座っている女は携帯をかけている。大胆にも金子の指が下腹の膣の中に入っている。





2017/04/04 Tue. 06:25  edit

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踏み込む2 

 私の体を積んで金子は天王寺病院に走る。チエがパソコンでホテルの位置を知らせてくる。私はこの距離なら一瞬だ。部屋のドアを抜けるとそこに裸の男が3人、服を着ている女がビデオを回している。ベットに全裸で尻を突き上げるように屈んでいる。
「次は俺だ。夜から3周りだから9回もしてる」
「中は精液でぐちゃぐちゃよ!3人の複製の子供が生まれてくるのかしら?」
 女が膣から流れてくる精液を指で突いて接写している。シオンはこんな場面でも快楽にしたっている。4周りの男がまた反り立ってきて押し込む。
「それで終わりだ。社長が医師が来たら天王子病院に連れて行けと言っている」
 チャイムが鳴って医師が姿を現した。
「やはりやっていたのか?」
と言うなり医師は服を脱ぐとアナルの方に大きくなったものを入れる。
「凄い!すんなり入った!」
 女がまた接写している。
「検体とやるの?」
「それはない。ほとんど救急車で運ばれてきたときは心肺停止状態だ」
 30分で終わると鞄から注射器を出して腕に打った。
「殺した?」
「馬鹿な。睡眠薬だ。これから病院に運び込む。君はビデオを置いて女の二つの穴の液を拭き出してくれ。さすがにこんなものが流れているとやばいからね」
 もうシオンは眠っている。女が穴を拭きとると下着をつけて服を着せて毛布に包む。
『白のワゴンがそちらに行く』
 私は金子にメールを打つ。












2017/04/03 Mon. 06:24  edit

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