ふたり

ゆかと敬は全く違う人生を歩んできて別々に死んだ。男と女が入れ替わり新しい人生が始まった。

踏み込む1 

 金子がワゴンを借りてきた。ここは金がないので車を使うときはいつもレンタルだ。今日は事務所は閉めて全員が車に乗っている。駅前ビルの地下のガレージに入れる。金子は『Mオフィス』を表から出入りを見張る。チエは車の番と連絡係だ。私は後ろに毛布に包まって眠る。
 事務所の前に来るとトイレから金子が覗いているのが見える。もちろんドアを通り抜ける私は見えない。部屋には受付だけで誰もいない。応接室から声が聞こえる。
「あの女の子をどうしましょう?」
「今更救急車を使うのも不味いでしょうね。元気な人体を使うのはさすがに初めてです。医院長と相談してみます」
 これはあの医者だ。前にいるのは髭の社長だ。医者は携帯で医院長を呼び出している。私はその耳元まで近づく。
「あのシオンと言う女を捕まえたのですが、どうしましょうか?」
「今週刊誌に狙われているから、あまり大胆なことはできない。まずそちらなら天王寺の病院に連れて行き、君が適性検査をするのだ。適性内容は君にメールを送る。病院には私から連絡を入れておく」
「はい。さっそく」
 医者は携帯を置くと、
「でどこに?」
「暴れたので近くのラブホテルに監禁しているようです」
「まさか検体に手を出していないよな?」
「・・・」
 自身がないのか社長は答えない。
「まあしかっりやっている女らしいから1度や2度はどうってことない。それよりまずそのホテルに連れて行ってくれ」
 社長は携帯を入れて机のメモ用紙に『メランコリー301』と書いた。








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2017/03/31 Fri. 06:08  edit

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初めの一歩11 

 夜8時に『橋本』の前に戻った。敬がみよちゃんと探し回っていてくれたようだ。
「確かに見たのよ」
「それはいつだった?」
「4時だったわ。窓から少し覗き込んでいた」
「敬はいつカラオケ居酒屋に行った?」
「出前に帰ってきてからだから4時半かな」
「その時間だとまだ女の子は来ていないよね?私今から行ってみる」
 私はその足でカラオケ居酒屋のドアを開ける。敬が後ろから着いてくる。
「シオン来なかった?」
「見てないね」
 年配の女が振り向いていう。
「いや、ここに入ってくるときに表で見かけたぞ」
「何時だった?」
「5時を少し回っていたな。またシオンが戻ってきているのかと楽しみにここに入った。だがいくらたっても入ってこなかった」
 入口で『Mオフィス』の連中が張っていたのだ。今回は救急車と言うような手の込んだ方法を使っていない。シオンはマークされていたのだ。
『シオンが『Mオフィス』に捕まえられた』
 メールを金子に入れた。
『一度マンションに戻ってみる。明日大阪駅前ビルに行こう。何か動きがあるかも知れない』





2017/03/30 Thu. 06:52  edit

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初めの一歩10 

「この証拠は抜群だがどうして撮ったのか説明がつかんぞ」
 机に私が撮ったベットに絡む不倫カップルの写真を投げ出す。チエはう!と言ったまま顔を覆っている。私はもう鞄を抱えて立ち上がっている。
「電波は神戸あたりだ。場所を特定するのに時間がかかる。何度も神戸に通う気で行け」
 金子は不倫カップルの奥さんに説明して、弁護士事務所の依頼の案件で京都に行く。この事件が入ってから初めての商売繁盛だと言う。
 2時間少しで三ノ宮駅に着くまず海側に降りてみる。それから駅の中を抜けて山側に出る。微かに山側が電波が強い。坂道を歩く。もう1時間半山際まで歩いているのにまだ奥を示している。あの看護婦は辞めてからもう3か月は経っている。じっとホテルに泊まっていることはないと思う。どこか病院に勤めたはずだ。
『チエ三ノ宮の山側の病院を調べて?』
 メールを送って山道を歩いていると、3件の該当する病院を打ち出してきた。私はその中で精神病院を選んだ。山に入って1時間で山の傾斜に建物が見えた。門まで歩いたが鉄格子は閉まったままで大きなワゴンが留まっている。取りあえず建物の塀を回ってみる。どの位置からも電波は中を示している。この中にいる。
『ゆか今いい?』
 敬からだ。
『どうした?』
『シオンが『橋本』の前を歩いていたとみよちゃんが言っていた。それでカラオケ居酒屋などを探したんだけど見つからない。探すの手伝ってほしいんだ』
『分かった。今から戻る』
 ここから中に入って看護婦を見つけるのは難しい。それに看護婦を見つけても病院の調査に結びつくかはわからない。




2017/03/29 Wed. 06:57  edit

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初めの一歩9 

 結局その夜金子のマンションに私が泊まった。敬に連絡するとみよちゃんと泊まるようだ。夜に3時間もシオンと凹凹をしてようやく大人しくしているように約束させた。今日はまた尾行の調査で不倫のカップルを追いラブホに入る。いつものように後ろから入って部屋に入る写真を撮る。それから1時間部屋にいて先に出る。ここからが外での見張りになる。
 ここはちょうど赤ちょうちんがあってそこの窓でビールを置いて張り込む。
「2時間で出てくるときもあるし、朝まで泊まられたら負けだ」
「いつも一人で?」
「チエを連れてやったが震えていて駄目だったよ」
「一人じゃ警戒されるものね」
 窓の外を見ながら話をする。出てきたら支払いは残ったものがする。私は路地を歩いてくるカップルを見て驚いた。あの医師と辞めさせられた私の担当の若い看護婦だ。
「もう一度一緒にホテルに入って?」
 金子の手を引っ張って前のカップルの後ろから入る。
「あれは誰だ?」
「あの病院の医院長の片腕と私の元担当の看護婦です」
「ついでに仕事のカップルの部屋も撮って二人の部屋に入ります。私は今から寝ますが起こさないでください」
 最近は眠るのも自由になった。驚いて見詰めている金子を見ながら初めに入った部屋で写真を撮って、次には医師と看護婦の部屋に入る。もうすでにシャワーも浴びないで全裸で絡んでいる。私は動き回って写真を撮る。2時間がったってようやく風呂に入った。
「気が狂いそうだったのよ」
「悪い。来月に辞める予定だ。これ以上いたら使い込みもばれるし、どうも今のプロジェクトも怪しい」
「これは当座の金だ。1千万ある」
 持っていた鞄を開けて渡す。
「それとこの通帳は今は引き出すな。足がつくかもしれない。ほとぼりが冷めてからだ。それとこのUSBは身を守るお守りだ」
と言い終わらないうちに看護婦が医師のものを咥えている。シオンに劣らないエロ女だ。とっさに鞄に発信機を投げ込んだ。これは逃がしそうになったら使えと金子に言われていた。






2017/03/28 Tue. 07:07  edit

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初めの一歩8 

 敬の話では『Mオフィス』の名刺を持った男たちがカラオケ居酒屋に押し掛けてきたそうだ。危機一髪だ。敬は髪の毛が伸びてちょっと見たら女の子に見える。私はショートカットのリクルートスーツ姿だ。あの写真では捕まらないだろう。フリーライターの第2弾が出た。
 これをテレビで取り上げるところが出てきた。人体実験疑惑!とちょっとしたオカルトの取り扱いだ。この記事の提供も週刊誌から行っているので小山に収入が入るようだ。
「今月から調査費が100万になっている」
 チエが嬉しそうに言う。どうも私に対しては警戒心がなくなったようだ。
「金子探偵はどうしたの?」
「調査先に直行すると言っていたけど、何だか慌てているふうだった」
 それでシオンの携帯にかけた。
「ああ、ゆか?暇を持て余して死にそうよ」
「もしかして朝探偵を襲わなかった?」
「まさか朝に来ていた?」
「襲ったのね?」
「立たないって言ってたのに、立派に立ったし、どくどくと白いのを流してたわ」
 それで血迷って会社に遅れた。
「かどわかしては駄目よ」
 シオンが人体実験に使われるのは困るのだが、金子を腑抜けにされるのも困る。
 夕方やつれた顔で金子が戻ってくる。
「今日は私も泊まりましょうか?」
 買い物袋に弁当と缶ビールが入っている。
「二人で攻められえたら死ぬわ。しばらくここのソファで泊まるわ」






2017/03/27 Mon. 06:58  edit

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初めの一歩7 

「飛んでもないファイルだな。よくこんなのが手に入ったな」
 金子がファイルを手に口から泡を吹いている。
「小山と話したが、このファイルは確かに公安のナンバーが付いている。このナンバーは極秘案件と言うことらしい。東京の元公安の探偵に聞いた。やはり公安が動いていたのは事実だった。その彼が言うにはこの指示はもっと上から来ていると言っていた」
「上?」
「公安は自分から仕事を増やすことはない。それにあの病院の医者が来ていたのは危険だよ」
 今朝は寝ているシオンを叩き起こしてきた。
「しばらく預かるが想像していたよりエロイな」
「体が子宮なんです」
 応接室で長い足を拡げて寝ている。スカートの奥に黒のTバックが見えている。
「襲われますよ」
「いや私はもう立たない。妻と離婚したショックから駄目になっている。店には?」
「田舎に帰ることになったと敬が伝えています」
「店は住まいは?」
「そんな申告のいらないところなんです。出来るだけ次のところを探します」
 シオンが起きて肘をついてこちらを見ている。
「まだ狙っているんだ」
「そう。シオンは女でいたいでしょ?」
「女がいい」
「オッパイが見えているよ」
 金子が慌てて目をそらしている。これはもう陥落だ。








2017/03/26 Sun. 07:16  edit

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初めの一歩6 

 夜中に敬と私はシオンに起こされて2時間も汗だくのハードな運動につき合わされた。それで今朝はシオンはTバックもつけないで爆睡している。敬は目をこすりながら『橋本』に出かけた。私は今日はそのまま布団に潜り込んで眠る。
 金子探偵が例の大阪の調査会社の表からの調査をした。今日はそれに基づいて裏の調査に入る。金子の言う大阪駅前ビルの1室にすり抜ける。ここは彼の調査では元公安出身の社長だと言うことで、公安がらみの調査をよく受けているとのことだ。『Mオフィス』とドアに書かれている。
 思ったより広いフロアーにスーツ姿や私服の男女が5人座っている。隣の部屋に応接室と社長室がある。
「どうだ。調査の状況は?」
 60歳くらいの髭の男が前にいる社員に聞く。
「逃げ出した男と女が大阪にいると言うことですが、私が思うにその女が昔住んでいた通天閣辺りの簡易宿泊所やホテルに昨日から5名入れています。だがこれといった手掛かりはありません」
 やはり私たちを探している。
「それとアキラが攫う予定の女は?」
「これは見つけています。カラオケ居酒屋で働いています。どうしましょうか?」
「公安に連絡して聞いてみる」
 シオンもまだ狙われている。ドアが開いて受付の女が覗く。社長は依頼ファイルを机の上に置いて部下と出ていく。私は指先に力を込めるとそのファイルを開いて携帯で撮る。まだまだ私の知らない能力があるようだ。着ている服の中に入れてしまえば見えなくなるのだ。
 フロアーにでるともう社員は誰もいない。受付の女がコーヒーを運んでいる。応接室に入ってみて驚いた。そこにいたのはナンバー2のあの病院の片腕の医師だ。










2017/03/25 Sat. 07:06  edit

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初めの一歩5 

「こちらに入ってくれ」
 金子が応接室に私を呼ぶ。テーブルにノートパソコンが置かれている。画面にフリーライターの小山が映っている。どうも本が乱雑に積み上げられた部屋が小山の仕事場のようだ。
「ここは今回の仕事のために長期契約したビジネスホテルだ」
 金子が説明する。
「連載開始から反響が多く、編集長から下位のサブ連載から2位の連載としてページも増やされた」
「それはよかった。ゆかの給料が払える」
「だが問題も予想通りに出てきた。あれほど特定な情報を避けたが、ある調査会社から編集長を訪問してきた。私はこの記事には小山と名前ではなく偽名を使っている。名前を明かさないと言う契約だ」
「調査会社はどこだ?」
 画面に名刺を押し付ける。
「大阪の調査会社だ。早急にここを調べてくれ。どうもゆかと敬を特定しているようだ。それも大阪をターゲットとしているようだ。ゆかも注意してくれ」
「はい」
「それと次は二人の病院での記事を掲載する。送ってくれたのをすでに修正した。それをパソコンに入れたからすぐに見てくれ」
「人体実験のモデルは何体まで確認できた?」
「28体までだ。そちらで12体調べてもらったな。これからこの28体の資料を完璧に作る。それを手伝って貰いたい。ポイントは死亡日時と本人の写真。墓の有無。救急車で運ばれた時の症状等。これはいつか記事に載せる時期が来る。何よりも生き証人がゆかたちだ」








2017/03/24 Fri. 06:51  edit

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初めの一歩4 

「凄いね!」
 パソコンに昨日のラブホに入る不倫カップルのホテルから出てくる写真、部屋に入る後姿の写真が張り付けられていて、彼女が調査文章を書いている。最近は目を見ない限り話しできるようになった。
「もう1年になるから」
「でも私こんな文章書けないよ」
「私子供の時から詩を書いていた」
「金子さんとホテルに行ったことがある?」
「ある」
「エッチされなかった?」
「あの人はもう立たなくなったと言っている。私は一度抱かれたいと詩ばかり書いている」
「気持ちいいよ。チエは幾つ?」
「20歳になった」
「私より姉さんなんだ」
 電話がかかってきてチエが出る。
「はい。はい。納期は1週間ですね。書類は書留で届くのですね?」
「どこから?」
「お得意様の弁護士事務所。離婚調停の調査を依頼してくる。ここの半分の仕事がここから来る」
「チエ、一度弟と寝てみない?」
「なんと大胆な!?」
「私は元男だから。男前よ」
 チエは顔を真っ赤にしている。だが私と敬はセックスマシーンとこの世に生まれた。






2017/03/23 Thu. 07:50  edit

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初めの一歩3 

 朝敬と二人でマンションを出る。
「なんかあの尻を見るとやりたくなるよ」
 布団からシオンの黒のTバックの尻が見える。シオンは戻ってくるとシャワーも浴びずにTバックだけで裸で布団に潜り込む。寝相が特に悪い。私は笑いながら敬の盛り上がったジーパンをつんと突く。これが日課になっている。
「最近は元気だなあ」
 朝事務所に着くともう金子は来ていてコーヒーを飲んでいる。私もサンドイッチを開けて朝食だ。金子もサンドイッチだ。
「奥さんが朝してくれないの?」
「会社を辞めた時離婚したよ。娘は年に何度か食事するがな。ゆかと同じくらいの年かな。だからゆかは娘と同じ感じがする」
 こんな調子で仕事を始めるのは9時半を過ぎてからだ。同僚の女の子はほとんど口をきかない。仲が悪いのではなく自閉症で金子が友達から預かっている。だがパソコンは得意なようだ。
「記事が始まった」
 全国版の有名な週刊誌だ。『黒社会』と言う特集がサブ記事で連載が始まった。ナンバーを暈した救急車の写真がインパクトがある。これは実際のアキラを載せた救急車だ。周辺の景色も暈している。だが文章は私の『ある日』の日記だ。
「まるで私の文章ではなくて凄いわ」
「彼は文才もある。だが問題は反響だな」
「この顔を暈した少年は?」
「ゆかの写真がないのでアキラの写真を使ったようだ」
 ちょっと嫌だなと思う。
「今日は私は何をすれば?」
「私とラブホに行く」
「エッチするの?」
「浮気追跡だよ」
 隣の女性が珍しく笑っている。











2017/03/22 Wed. 06:57  edit

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初めの一歩2 

「敬どうしたの?」
 『橋本』で一人ビールとご飯を食べていると敬が横に座った。まだ8時過ぎだ。
「串カツの呼子やめるよ。アキラの代わりに腹心の男がドラックを売れと言ってきた。もうたくさんだよ。それにゆかと会えない生活は嫌だ」
「シオンやみよちゃんがいるじゃないの?」
「私とゆかは一つなんだと思う」
「一つなのね?」
 私はコップを取ってビールを敬のために入れる。奥の暖簾からみよちゃんが顔を出す。
「明日からここの洗い場と出前の自転車に乗る」
「自転車乗れるの?」
 みよちゃんがいつの間にか教えていたようだ。笑っている。
「出来レースなんだ?」
「朝ゆかと起きてここでご飯を食べて、たまにはデートして一緒に寝る。まだ独り立ちなんて無理だよ。ところで探偵事務所はどう?」
「病院を調べているの。アキラは殺されたそうよ」
「アキラも馬鹿だ」
 元々敬はアキラを嫌っている。
「シオンは?」
「シオンは元々好き女だ。結構カラオケ居酒屋でお尻見せたり、フェラして楽しんでいる」
「敬抱いたな?」
「抱くにはいい女だよ」




2017/03/21 Tue. 06:47  edit

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初めの一歩1 

 生活が一転した。私は8時に起きて立そばを食べて金子探偵事務所に9時きっかりに飛び込む。ジーパンではなくリクルートスーツを買ってきている。男だったころは一度もスーツなど着たことがなかった。敬とシオンは12時過ぎに起きて、二人で『橋本』で昼食をとる。夜は8時に『橋本』で一人寂しくビールを飲む。敬が来るのは9時を過ぎてから。シオンは10時だ。
「ちょっとこちらに来てくれ」
 金子探偵が声をかける。もう一人の女事務員は法務局に出かけている。金子は意外に優しい。コーヒーに凝っていて私にもドリップで入れてくれる。
「小山さんから添削が戻ってきてる」
 これは『ある日』を詳しく思い出して書いたものだ。だが赤線と書き直しで真っ赤かだ。
「彼が言っているのは君のためだ。場所を特定しては危険なのだよ。年齢もダメだよ」
「そうか」
「きっと病院や公安は君を探している。彼も首になった原因はスポンサーの不祥事を記事にしたのだよ。本来ならいい大学を出ていたからエリートコースだったのにな。大阪に来たら時々通天閣で飲む」
「私は元々ボウフラみたいなチンピラでした」
「女になった気分は?」
「あまりよくない」
「あのアキラとは?」
「ただの嫌な奴よ」
「これは小山さんが気にして内緒にしていたことだけど、私は事実を知っておくことが身を守ると思うので話す。私たちが病院の建物に忍び込んだ日、そのアキラは全裸で莚の上に寝かされていた。必要な体ではなかったのだ。すでに薬で殺されていたのだろう」
「殺されていた?」
「翌朝アキラは襤褸切れのように焼却炉で燃やされた」










2017/03/20 Mon. 07:09  edit

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あの日9 

 あれから3日後、男は救急車で運ばれて全治3か月の骨折だ。その間に裏ビデオの店とドラッグの部屋に警察が入った。今日は阿倍野にある金子探偵事務所に呼ばれている。
「中に入ってくれ」
 金子は現れた私を応接室に入れた。若い女の子が一人電話番をする小さな事務所だ。応接室にフリーライターの小山が座っている。思っていたより若い。
「私は35歳。元週刊誌の社員だったが首になってフリーになっている。彼とは何度か行方不明で調査をしてもらっている。本論に入るよ」
 彼は撮ってきた写真をテーブルに並べる。アキラを運んできた救急車の写真、病院の建物、死体の保存されたカプセルの写真、多数だ。
「驚いたよ。こんなことが日本であるとはな」
「だが危険だ」
 探偵が口を挟む。
「そうだ。無防備に記事を出したら潰される。だからしっかりとした週刊誌を選んだ。それに核心から離れたところから取材を載せる。このカプセルは最後の最後だよ」
「君はあんな居酒屋はやめてここで働かないか?」
「あんなとは言わないで友達が勤めている。私は何をする?」
「記事の指導をしてもらいたい。給料は初めは期待できないがな。だが記事を載せ始めると結構払える」
「働くわ」
「まずは『ある日』のことを詳しく作文してほしい」
「後で知ったことも入れてもいい?」
「もちろんあまりにも過激なのはカットする」
と言うと3つの携帯を出してきた。
「3人だけがこの携帯でしかやり取りしない」
 ここでチームができた。









2017/03/19 Sun. 06:17  edit

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あの日8 

『やはり救急車はあの病院に着いた。小山が山の反対側に猪の入口を見つけていた。陽が落ちたら入ってみる』
 探偵からのメールだ。今日は朝からシオンの引越しを手伝っている。彼女はどうしても風呂のない部屋は駄目だと言うことで3人で今の簡易宿泊所から通天閣の裏に移ることにした。3人が川の字で寝ることにした。セックスも週に1度と決めた。それにシオンのドラッグも取り上げた。
『病院には相当数のガードマンがいます。一番背の高い建物には保存された死体がカプセルに入っています。100体ほどありますが、保存されず焼却されている死体もあると思います』
 私はメールを返して敬と二人で布団に入る。4時になったら起こしてくれるようシオンに頼んだ。これはアキラに依頼していたドラッグの卸しをしている男の動きだ。部屋をくぐり抜けて男が電話している男の後ろに立つ。
「女じゃなかった?」
 私は受話器に耳を寄せる。
「病院からクレームが入っている。すぐに相手の女の方を捕まえろ。そうしないとお前の店に捜査を入れると言ってるぞ」
「分かったよ。これは俺がやる」
 男は椅子を蹴飛ばして部屋を出る。
「まだシオンは安全ではない。どうする?」
「少し荒っぽいがしばらく入院してもらうよ」
 男の後ろをついて建物の外に出る。男は赤信号でイライラしながら立っている。
「敬は下がっていて」
と言って私はピッタリと男の背中にくっ付いた。
「おい!何をするんだ」
 その声とともに男は押し出されるように車に飛び出した。
「あなたは人を殺すのに2度も手を貸した」




2017/03/18 Sat. 06:52  edit

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あの日7 

 シオンを抱きかかえて部屋に戻る。敬が起きて座っている。
「敬これはどういうことだ?」
「シオンはサービスし過ぎだよ。アキラが5千円出したのでフェラしたんだよ。その時にアキラはシオンのビールにドラッグを入れた。それで私がグラスを入れ替えた。アキラはそれを飲んだんだ」
「敬どこにもいなかったよね」
「だから敬も私も透明人間になれるのよ」
「ほんとだったの?」
「シオンは口にゴムを含んでいた」
「よく見ていたね」
「ずっと横にいたんだからね。シオンのTバックは黒、昼にトイレでオナニーをした」
「もういいわ」
「怒っている?」
「感謝しているわ」
『今救急車は東名に入った。救急車の後ろに黒い車がぴったりついている。長い追跡になりそうだ。伊豆半島の病院でフリーライターの小山と会う。救急車に乗っているのは誰だ?』
『本来は若い女と言う指令でシオンにドラックを飲ませる予定だった。それが本人が飲んでしまった』
『分かった詳しいことは戻ってきてから聞く』
「その探偵信頼できるの?」
「信頼するしか頼るところがない」
「シオンも仲間だよ」
「敬も入れてもいいよ。いい女に囲まれて幸せね」










2017/03/17 Fri. 07:03  edit

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あの日6 

 アキラは私かシオンかどちらかに手を出してくる。私は探偵と別れると串カツ屋の通りを歩いた。通りにはまだアキラがいた。私を見たが特段反応はなかった。一度部屋に戻ると敬が眠っている。シャワーを浴びてジーパンからスカートに履き替える。業務用にTバックを履くようにしている。お尻の割れ目を見せるだけで2千円が取れるのだ。
 5時ちょうどに店に入ると、もう常連がカウンターに3人並んでいる。
「いつものお尻出しなよな。3人で5千円だ」
「値切るな。今日はその気じゃないの」
 カウンターに入ってカラオケの番をする。7時になってシオンが来る。背中に敬が疲れた顔で立っている。
「悪いな」
 心の中で詫びる。シオンはもう先ほどのおっさん達に黒のTバックでお尻を見せている。
「長い髪が出ているよ」
「切るとチクチクするから嫌い」
 5時間はあっという間に過ぎる。いつものように先に『橋本』に行く。だがアキラの腹心が電柱のところにいる。
『無駄になるかもしれないけど、『橋本』の横に車を付けてくれない?』
 昼に会った探偵だ。勘はよさそうだ。
『救急車が来るのだな?』
 しばらく『橋本』の窓から見ていると、サングラスをかけたアキラが入っていく。腕時計を見る。30分が過ぎた。何も起こらないのか?私の後ろで妹のようにみよちゃんが覗き込んでいる。急に店の中が慌ただしくなる。
「あの通路に救急車が来ている?」
 やはり待っていたのだ。隊員が担架を抱えて入っていく。私はスカートを捲りあげて走るだす。担架と入れ違い私が入る。だがシオンが白い顔で立っている。







 

2017/03/16 Thu. 07:21  edit

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あの日5 

 私を狙うかシオンを狙うか。
『今日、1時に通天閣の下の喫茶店で私の雑誌を手にしている男に会ってくれないか?』
 フリーライターからのメールだ。
「敬、今日一杯シオンに付いていてくれない?」
「背後霊だな」
 2人で『橋本』で昼ご飯を食べる。
「敬君は?」
「今日は風邪気味だから休むって」
 今はシオンは近くのビジネスホテルに泊まっている。
「敬と悪いことしたんじゃ?」
 シオンは薄々二人の関係を感じているようだ。シオンの横に敬がいる。私は出ていくと腕時計を見る。5分ほど遅れそうだ。ここには入ったことがない。思ったより客が入っている。男が雑誌を上げた。
「美人だな?」
「公務員みたいな黒縁の眼鏡」
 名刺をテーブルに置いた。金子探偵事務所、所長とある。
「私は」
「ゆかさんだね。私は50歳になるまで法務局職員だった。小山は大学の同窓の弟だ。さあ本論に入ろう。藤崎徹、16歳で死亡。あの日ドラッグで救急車で運ばれた記録はない。だが間違いなく君が運ばれたのを見ていた人がいる。でも君が男だったとは信じがたいがね」
「やはり戸籍からは抹消されて?」
「死亡は公安から出ていた。一度私の事務所に来てほしい。小山からも調査依頼が来ている。だが本人の同意がないとな」
「頭を整理したら訪ねます」






2017/03/15 Wed. 06:15  edit

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あの日4 

 私が口をきいてシオンがこちらの店の7時のホステスとなった。もう2日でナンバーワンになった。シオンはとにかくサービスが凄い。そのかわり私と一緒の10時に上がる。10時からは閑古鳥が鳴いている。シオンが来てから『橋本』で敬も入って遅い晩飯を食べる。
「アキラはどうしてる?」
「今日もあのドラッグの親父が来て話をしてた」
「アキラは?」
「その男に若い女を手配するように頼んでいる」
と敬が答える。
「敬は徹の相棒ね?」
 ゆかはシオンにすっかり話している。どこまでシオンが信じたのかわからないがすっかり私のレズ仲になっている。この時間はもうみよちゃんはただの客で敬の横に座っている。今の時間は母親と父親がカウンターに入っている。
「ゆかの顔って敬の顔なんだ。でも若い女となると私だけでなくゆかも狙われている?」
「そう。アキラは必ず狙ってくる」
「あそこにいるのはアキラの腹心だよ」
と敬が耳打ちをする。
「今日はシオンさんも部屋に来て飲む?」
 敬がシオンを誘っている。外にアキラがいるようだ。
「私も泊めて!」
 みよちゃんまでもその気になっている。







2017/03/14 Tue. 06:57  edit

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あの日3 

 シオンにはアキラとは飲むなと伝えた。それで仕事が終わったら二人で飲むことを約束した。それで心の中で敬にそのことを唱えた。最近はこうした交信ができるようになっている。
 約束の時間より早く終わったので、私の方からシオンの店を覗いた。外から覗くとカウンターの中にシオンはいない。先に出たのか。だがそれなら途中で会うはずだ。ボックス席にアキラの頭が見える。まさか。私は我を忘れてもう部屋に入っていた。
「浮気する気!」
 アキラの反り立ったのもが起き上がったシオンの口から出てくる。私はテーブルのビールをなぎ倒した。
「おい、彼女が押し掛けてきたのか?」
 店のママに追い出された。私はあのコップにドラックが入っているかと疑った。
「ごめんなさい。ゆか」
 その後をシオンが出てくる。
「私あの店をやめる。アキラを拒んだのに店がサービスをしろと言った」
「いいのよ。私は薬を飲まされたのかと」
 この流れでそのまま阿倍野まで歩いてホテルに入る。シオンは今度は自分がアナルを舐めると言ってきかない。
「気持ちいい!」
「ゆか変態になったのね」
 私の耳元に敬が来ている。
「ベロが入っている凄い!」
 あまりの格好にシオンを起こして唇を吸う。
「アキラが私にドラックを飲ませようとしていたの?」
「そうよ」
「あなたは徹なの?」





2017/03/13 Mon. 06:52  edit

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あの日2 

「私も連れて行って?」
「私だけでいく。危ないところだから」
「でも今回も体を置いてくのでしょ?」
と言われて今日は二人で休みを取って朝から二人で手を結んで眠る。次の瞬間名刺の事務所にいる。若い男がソファーに3人足を投げ出して座っている。ここは組事務所ではない。ドアからあのドラックの男が入ってくる。
「おい、こちらに入れ」
 隣の部屋から声がかかる。この男が名刺の男だろう。私と敬も一緒に部屋に入る。
「また依頼があった」
「依頼?」
「前は若い男だったが、今回は若い女だ」
「あの男は死んだ?」
「死んではいないだろうな。公安の話では国家的な研究だと言っていた」
 私と敬が顔を見合わせた。
「今回は100万ではできません」
「足元を見るな。これはドラックのお目こぼしで大きな金は出ておらん」
と言って100万の上に50万を重ねた。
 またアキラを使うのだろう。アキラがだfれを標的にするのだろう。まさかシオンか。男はポケットに札束を入れるとドアを出ていく。その足で串カツ屋の目にいるアキラに声をかけて50万を渡した。
「アキラは誰にドラックを盛るのだろう?」
 敬が心配そうに呟く。







2017/03/12 Sun. 07:08  edit

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あの日1 

 今日は店を休むことにした。敬にも言って朝方に寝た。すでに体から抜け出している。通天閣の見える通りに立つと、敬の袢纏が見える。その横にアキラの袢纏が見える。敬は私がここにいるのを感じているのだろう。2時間ほど石段にかけているとアキラが路地に入った。そこでやはりドラックを男に売っている。
 それから1時間してアキラは半纏を脱いで道路を渡る。それからビデオ屋のビルに入る。私はぴったりついて部屋に入る。
「アキラか?」
 テーブルに原色の袋を積み上げて札束を数えている人相の悪い男が声をかける。この男は時々串カツの店に来ていた。下の裏ビデオ屋も経営している。
「徹のことを調べている奴がいる」
「徹?」
「俺が頼まれてドラックを飲ませた奴だ。あれは誰に頼まれた?」
「昔のやくざの若頭だ。100万で請け負った」
「俺は10万だったぜ」
「その男は?」
「このドラックの元締めだよ」
 男は組の名刺を見せた。
「徹は死んだのか?」
「知らない。儂は飲ませるだけの仕事を請け負った。だがこれは公安が絡んでいると言ってたな」
「生きていることは?」
「あるかもな」
 それから金と荷の受け渡しが始まった。私はそっとその名刺を抓んでポケットに入れる。





2017/03/11 Sat. 06:55  edit

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フリーライター11 

『君はゆかと言うのだね?指名手配の写真を見つけた。それで調べてみたが、これは警察だけでなくタクシーにも配られている。依頼主は公安だ。公安も調べたがその先の依頼主は教えてもらえない』
『あの担架で運ばれた人物を調べた?』
『キャバクラで働いていたハーフの女の子だ。家出少女だ。16歳、彼女も危険ドラックでキャバクラから救急車で運ばれた。でも不思議なのだが勤務中に飲むのはおかしい。連絡して1分で到着している。それはあり得ない』
『私の時もドラッグを入れられた』
『もともと仕組まれていたのだな。心肺停止でもない可能性もある。それでこの救急車を探してみたよ。たまたま携帯で撮っていた人を見つけた。問い合わせしてみたがこの救急車は公安の持ち物だ』
 『橋本』の定位置にいるとアキラが入ってきて座った。
「シオンと付き合っているのだそうだな?」
と言ってビールを頼む。敬は少し前に出ていった。私はみよちゃんに合図を送った。
「友達よそれが?」
「俺と付き合うなと言ってるそうだな?」
「誰から聞いた?それよりあなた昔ここのコップにドラッグを入れたのよね?」
「誰が見た?」
「見た人から聞いた」
 これは嘘だ。
「今もドラッグの売り子をしているの?」
 その言葉でアキラは小銭を置いて飛び出していった。
「今の人よ」
 みよちゃんが言う。






2017/03/10 Fri. 06:55  edit

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フリーライター10 

 アキラが徹にあの朝ドラックをビールに混ぜたとシオンに伝えた。証拠もないのにシオンは信じた。アキラの言動に思い当るところがあったのだろう。それからシオンは部屋にアキラを招き入れない。
「シオンが好きになった?」
「いや、前世のお詫びよ。それよりみよちゃんとは?」
「それも前世の積み残し」
 今日は小春日和か敬を連れて初めて動物園で弁当を食べた。花壇にチューリップを作業人が植えている。
「昔、この町に来た時よくここで一日中座っていたよ」
「その頃は仕事は?」
「まだこの町も今のように串カツ屋であふれていなかった。三角公園で知り合ったおじさんとアルミ缶を集めていた」
「どこに住んでいた?」
「おじさんの部屋に間借りしていた。その時に部屋代のつもりでおじさんのオナニーを手伝っていた」
「手で?」
「だんだんエスカレートしてきて口になってその時にアナルを舐めさせられた」
「シオンの時にしたのだね?」
「でもあの時は臭くてそれで飛び出した」
 少しずつ記憶が蘇ってくる。
「敬は思い出さないか昔のこと?」
「私には親がいなかったように思う。親戚の家に預けられていてそこの息子に初めて入れられた。昔の話はやめよう」
 敬と出口で別れてシオンの店を探す。近くにパチンコ屋があると聞いていた。角の並びに私が勤めていると同じのカラオケ居酒屋がある。シオンは7時から組だ。だが案外に客が多い。ここは一番奥にボックス席がある。ボックス席がある店はかなりやばいと聞いている。女が男の股座に顔を伏せている。
「あんた働くの?」
 声をかけられて慌てて歩きだす。






2017/03/09 Thu. 06:49  edit

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フリーライター9 

『この写真を見てくれ』
 フリーライターからだ。守衛室に入ってきた救急車だ。担架が下ろされて運び込まれている。出てきたのは顔馴染みの医者とガードマンだ。
『この死体、いや心肺停止の体を横浜の病院から追ってきた。ここに運ばれてくるか賭けだった。ここで何をしている?』
『ここで心肺停止の体を男を女に女は男に蘇生させている』
『君はここにいたのか?』
『私たちだよ。記事にするのか?』
『もう少し調査をする。分からないことばかりだ。ある程度輪郭が分かったら会いに行く』
 携帯を置くと敬が肘をついてみよちゃんとこちらを見ている。隣の席にシオンが座っている。
「敬は恋人じゃなかったのね?」
「敬にはあの子がいる」
「ドラックはやめて」
「やめるから時々前のように凹凹で相手して?なぜか昔からよく知っていた体のような気がする」
「アナル気に入った?」
 私はシオンのお尻を突く。
「私のマンションに越してこない?」
「敬を置いていけないよ」
「敬も連れてきたら?」
「シオンは敬も抱く気なの?」







2017/03/08 Wed. 07:04  edit

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フリーライター8 

 そんなことができるだろうか。そう思いながらも私は体からすぐに抜け出している。シオンから聞いていたアキラのアパートに入る。背中に敬が背後霊のようについている。
「どうする?」
「今日のあの話確かめてみたいの」
 アキラのアパートには何度か泊まったことがある。部屋の中は昔のままだ。ビールの転がったところにジャンパーのまま寝ている。シオンに今日は会わないでくれと頼んでおいた。
「体の中に入ってみる」
「そんなの無理」
「いや、私が敬と草の径で会ったと同じことよ。アキラの夢の中で会うのよ。もし出られなくなったら敬が引っ張ってくれ」
 暗闇の中に入っていく。アキラの夢の中はドロドロだ。アキラはここでも酔っぱらって寝ている。
「お前はあの時私のコップにドラックを入れたんだな?」
「ああ」
「どうしてだ?」
「シオンを独占していたお前が嫌いだった」
 やはり敬の言っていた通りだ。
「それにドラックの親父にドラックを飲ませれば10万もらえると言われてた。だが殺す気はなかった」
「私が死んだのを見たのか?」
「いや、死んだと後で聞かされた」
 10万払って私の体を手に入れたのはあの病院か。次の瞬間私の腕を誰かが引っ張った。






2017/03/07 Tue. 07:07  edit

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フリーライター7 

「私思うの。ゆかのあの事件の話」
 敬がみよちゃんが作った焼きそばを箸でつまんで声をかけてくる。
「シオンが言っていたあの日の朝アキラが迎えに来た話」
「ああ、あの日はアキラとドラックの金をもらいに行く約束をしていた。それで朝ごはんを『橋本』で食べた」
「夜ドラッグ飲んだの?」
「いや1袋しかなかったので半分ずつ飲んでやったので、汗ですっかり抜けていたよ」
「ならどうして倒れるようなことに?みよちゃん、救急車で運ばれてた男一人で来ていた?」
 みよちゃんはもう敬の彼女になり切っている。敬の肩に凭れて私を見る。
「友達のアキラと来ていたけど、徹がトイレに行った後出ていった」
「倒れた時は?」
「いなかったよ」
「病院にも行ったと言ってたけど嘘だね。ひょっとしたらアキラがビールにドラッグを入れたのじゃ?」
「どうして?」
「シオンが欲しかった」
「それでそこまでするか?」
「でもそれなら誰が飲ませた?」


2017/03/06 Mon. 07:15  edit

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フリーライター6 

「マンションに行くの?」
「あそこにいたらアキラが押し掛けてくるわ。この近くに昔よく言っていたホテルがあるの。金は私が払うから」
と言って路地の道をさらに奥に入っていく。細い通路があって部屋に入る。
「女同士だから裸でビールを飲まない?」
 シオンはもう全裸になって長い下の毛を見せて足を組む。相変わらず長い毛だ。コップを手に私が脱ぐのを見ている。
「ちんぽがあるのかと思っていたのに」
「私をおかまと?」
 返事を待たずに膣の中に指を入れてくる。そして舐める。
「あなたは藤崎徹かと思っていたのよ」
「藤崎?」
「私の元彼よ。あの人にドラックを教えられセックスも教えられた。でもそのままドラックで死んだと」
「死んだのは見た?」
「アキラが病院で死んだのを見たと言っていたの」
「シオン、そのことを詳しくアキラにもう一度聞いてくれない?そしたら気持ちいいことしたげる」
 そう言うと丁寧にアナルを舐める。もうシオンは体を震えさせている。これは私だけが知っている。
「やはり、徹だわ」
「いつか本当の話をする」
と言った時頬っぺたを押されたような触感があった。敬がここにいる。まさか3人でプレイする気か?









2017/03/05 Sun. 07:10  edit

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フリーライター5 

 新しい週刊誌を買ってきてカウンターの端で読む。ここは7人のホステスが時間交代で入ってくる。ベテラン(ホテルに同行する)は7時頃に出てきて11時に抜ける。私はまだ新米で5時に入ってきて10時に抜けている。ただ座って歌を歌っていては基本給は限られている。たくさん飲ませ、体をふれさせてそこそこの収入になるのだ。
「ゆかは7時組はどうなの?」
 ママが声をかけてくる。
「弟も働いているので」
と言って話をかわしている。ママからしては人気の高い私が稼いでほしいのだ。
 今日は10時にシオンと飲みに行く約束をしている。これは敬にも言っている。10時になるとジャンバーを着て外に出る。約束の通天閣の下に行くとシオンがもう来ている。昔からの白い毛皮のコートを着ている。私を見つけると腕を組む。私は外に出る時は出来るだけ男っぽい格好をしている。
「スナックでもいい?」
と返事も待たずに路地の中に入っていく。
「アキラじゃないの?」 
 マスターが声をかけている。
「ねえ、今日一緒に寝ない?」
「何か強引ね?でも凹凹じゃ楽しくないよ」
 シオンは強引に私の唇を吸う。
「気持ちがいいことない?」
 私はシオンの匂いを思い出している。
「ドラック使わないと約束できる?」
「どうして知ってるの?でもゆかとは使わない」











2017/03/04 Sat. 06:54  edit

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フリーライター4 

 今日は敬の串カツ屋で昼を食べようと言うことになった。私はますます市松人形のような顔になっている。どう見てもあの写真とは別人だ。敬も長い髪の毛をセーターに入れている。
「姉さんじゃなくて彼女じゃないのか?」
 同僚のアキラの声がしている。アキラの横にシオンが一緒に入ってくる。私はビールを飲みながら敬と串カツを食べている。シオンは昔に比べてずいぶん痩せている。私の目を見て隣に座る。
「その目なんだか懐かしいわ」
「初めて会ったよ」
「いえ会っているわ」
と言って手を握る。
「おいシオン、レズもやるのか?」
 アキラが声を出して笑う。どうもシオンは何か感じている。
『前嶋精神病院を調べた。怪しい。年間に20億のお金が入っているが、どこから払われているのかわからない。現場にも行ってきたが、相当な厳重な警備をしている。周辺の調査をしてみたが患者は10人もいないようだ。その割には職員が3倍以上いる。どこまで知っている?』
『あそこに記者が書いている消えた心肺停止の体が運ばれている』
『君はそこにいたのだな?』
『あそこの病院の門に隠しカメラを仕掛けてください。その体が今でも運ばれてきます』
「どうしたの?」
 敬が覗き込む。シオンがまだこちらを見詰めている。
「シオン、一度二人で会いたい」
 私はシオンの耳元で囁いた。






2017/03/03 Fri. 06:58  edit

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フリーライター3 

 最近は草の径に出ることなく思い描くところに動くことができる。だが問題は遠距離の移動はまだできない。隣の蒲団から敬が潜り込んでくる。
「何読んでいる?」
「あのフリーライターから送ってきてもらった週刊誌だよ」
 私が答えるのに敬は私の胸の間から顔を出してくる。
「ここ3年で分かっているだけで24体の心肺停止の体が消えているようなの」
「私たちも入っている?」
「記者が集めた例にはない。恐らく120人は下らないと思う。彼が見つけた24体は全国に渡っていて、すべて身寄りのない若者だと言うこと。死亡と処理がされているから私たちには戸籍がないと思う」
「どうする?」
「彼に協力しながら解明していくのがいいと思うの。でも居場所や名前は偽名にしている。この携帯も頻繁に変えるわ」
 敬のものが下腹に突き当たっている。
「彼はこれは政府が絡んでいると言っている。でも前嶋精神病院の名前は出てきていない。まずこの存在を教えてみる」
 それはすでにメールで流した。
「ねえ!敬約束違反よ。みよちゃんとやってるんでしょ?」
「駄目なんだよ。ゆかでないとダメなんだよ」
 敬はもうパジャマのズボンを下ろしてゆかの中に入ってくる。ゆかもすっかり濡れている。どうもこの感触が体に埋め込まれているようだ。
「ピルを飲んだから中に出してもいいよ」
「ほんと!」






2017/03/02 Thu. 07:19  edit

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