ふたり

ゆかと敬は全く違う人生を歩んできて別々に死んだ。男と女が入れ替わり新しい人生が始まった。

フリーライター1 

 敬との暮らしはゆっくりと流れた。簡易宿泊所でも顔を覚えてもらえるようになっていた。ここでは2人は姉弟だ。私は新しいカラオケ曲を覚えて時々カウンター席に座って胸やお尻を触れせるようになった。別に嫌なこともない。敬は半纏を着て呼子をするようになった。
 二人は暗黙のうちに体を交えるのは週1回と決めた。モルモットのように作られた運命に精一杯反発している。精神病の逃亡者の張り紙も貼っているところがめったになくなった。だが私は用心深く店に捨てられた新聞や週刊誌を隈なく見ている。今日は週刊誌の小さな記事に目を止めた。
 人体売買か!?と言う奇妙は見出しがついている。身元不明の若い男女が心肺停止状態で死亡として遺体が消えているとその記者が書いている。最近買った他人名義の携帯だ。
『この記事を書いた小山と言う記者はいませんか?』
『ああこの記事ね?フリーライターが書いているの。あなたはどちらの?』
『大阪ですが』
『彼は東京で数社の記事を書いているので携帯を教えるので自分でどうぞ』
 今日は寒さが厳しいので客足が少ない。
「ねえ、あんた常連とは寝ない?」
 彼女も新しいホステスでフイリッピンとのハーフだと言っている。
「姉さんは8千円で寝ているけど、私は1万円もらっている」
 昔からそういうことが当たり前だった。シオンもカラオケ居酒屋で働いていた。彼女もあの頃は週に3人ぐらいと寝ていた。それで私に寿司を奢っていてくれた。
 私は頷きながらその携帯番号を押したが、留守電になっていて伝言を入れる。
『一度記事のことが聞きたいのですが?』




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2017/02/28 Tue. 07:07  edit

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逃亡11 

 簡易宿泊所の玄関に私と敬の写真が貼られた。私は長い髪をしていて心持ほっそりとした顔になっている。だが今はおかっぱ頭に丸顔に化粧されていて雰囲気がずいぶん違う。敬は短い髪を七三に分けていているが今はちょっとニューハーフの感じがする。やはり精神病患者として手配されている。
 だが管理人も全く私たちを見ていて気にならないようだ。3時過ぎに『橋本』の定位置に座る。今日はみよちゃんが小皿におまけの卵焼きを入れてくれる。
「いくつになったの?」
「16歳よ」
「大きくなったね?」
「変な人ね?初めて会ったのに?」
「いや始めた会ったとは思わないのよ」
「でも私も最近そんな気がしてたわ。でも敬は昔ここに来ていた人に顔が似ている」
「その人ってここで倒れて救急車で運ばれた人?」
 敬が口を挟む。
「敬はみよちゃんと一度映画を見に行ったら?」
「どうして?」
「アキラとは付き合うな」
「アキラは嫌い?」
「嫌いだよ。あいつがドラッグの裏の仕事を紹介したんだ。私は呼子をしながらドラッグを売っていた。今頃思い出したのよ」
「敬私今やっている漫画が見たい」
 もうみよちゃんは彼女になっている。






2017/02/27 Mon. 06:46  edit

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逃亡10 

 昼遅めに敬と『橋本』で食事をして、私は向かいのカラオケ居酒屋に5時に入る。しばらくは10時に上がる。敬が鋏と化粧品を買ってきて私をおかっぱ頭にして顔のイメージを変えた。逆に敬は長くなった髪を少女ふうに束ねて見た目女の子になった。
「今日はどうする?」
「私も仕事を探す」
「働かなくてもいいよ」
「一人で部屋にいるのは嫌」
と言って5時前には別れて商店街を通天閣に向かって歩いていく。
 私は初日からおじさん達に気に入られてもう常連ができている。手癖が悪い客は何かと腕を握ったり、カウンターに座らせてお尻を触ってくる。だがこの店は使った客の代金の1割が基本給になる。50代の女将は常連と寝ていると言う噂だ。
「あんたの年齢ならもっといい仕事あるのに?」
「少しここで慣れてからね」
 10時近くになると表に敬の姿が見える。どこで買ったのか毛糸の帽子を被っている。横にアキラが立っている。なぜだろう?常連が酔っぱらって抱き付いてくる。隣の席では先ほどの女の子がお尻を触らせて千円札を3枚もらっている。私は躱すように立ち上がるとそのままひけてドアの外に出る。
 外に出るとアキラの姿はもうない。
「どうした?」
「明日からゆかが働いていた串カツの呼び込みをするんだ」
「どうしてアキラが?」
「彼に頼んだ。彼はゆかのことを覚えていたよ。姉ちゃんを紹介しろと言っていた」
「あいつは女好きだから」








2017/02/26 Sun. 07:12  edit

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逃亡9 

 手持ちの100万円がどんどん減っていく。ここ毎日昼ごはんに『橋本』に行っている。
「いつも二人で来るね?まるで恋人みたい」
 そう言われていつもの窓側の席に並んで座る。ここは店の人の死角になるのであまり座りたがらない。だからゆっくり座って入れるのでここでよく一人で食べた。平日はここに2時半くらいまでいて3時に半纏を着て串カツの店の前に立つ。
「みよちゃん、この辺りで働くところあるかな?」
「なんで私の名前知ってるん?」
「いえ、お客さんが呼んでいたから」
 みよちゃんがカウンターから出てきて大胆にも私の髪を上げて、
「へえ、可愛いやん。前のカラオケ居酒屋に話したげる」
「弟は?」
「男は駄目よ」
と言いながら急に私の股座を掴む。
「女だ!」
「あんたエッチね!」
「おかまじゃ困るの。この辺りは多いから」
 敬が笑っている。
「みよちゃんは面白いな」
「あんた私の彼氏にならない?」






2017/02/25 Sat. 07:20  edit

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逃亡8 

 どれだけ寝たのだろうか起きると思い切り喉が渇いて空腹だ。窓からは眩しい太陽が覗いている。
「どうしたの?」
「昔の自分を知るほど情けないよ」
「私も思い出せないけどきっと情けない人生だと思う。でもこれからどうする?」
 出来るだけ体を合わせないでおこうと言う気が二人にはある。なぜかアキラとシオンが重なるのだ。
「せっかく新しい人生をもらったのだからもう一度生きたい」
「私もよ。まず近くの店に食べに行こう」
 建物の1階に降りると管理人が興味深そうにこちらを見る。路地から商店街に出る。『橋本』という暖簾を見てガラス戸を開ける。ここはよく昼ご飯を食べに来ていた。ここの娘がよく小皿を誤魔化して出してくれた。やはり少し大人になった娘が立っている。
 おでんを頼んでビールを注文する。あの頃はいつも大瓶を1本飲んでいた。娘は敬の顔を覗き込んでいる。
「あなたにお兄さんはいない?」
「兄貴は横にいる」
「姉さんに見えるけど?」
 やはり敬は私の顔を引き継いでいるのだろうか。
「その人もおでんとビールを頼んでいた。でもここから救急車で運ばれていった。白目をむいて鼻血を出して倒れたの」
 ここで倒れて運ばれたのか。
「何時に?」
「いつもお昼に来るのに朝に顔を出したので覚えている」
「死んだ?」
「どうかな?その後顔を見ないから死んだのかも?」





2017/02/24 Fri. 06:47  edit

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逃亡7 

 この部屋を覚えている。万年床の古いベットが置いてある。
「シオン!今日は薬を飲むな!」
「アキラも飲むのよ」
 原色の袋をビールに入れてシオンが飲んだ。それからもう一度口に含むとアキラに口づけをする。この飲み方は私がシオンに教えたものだ。シオン、シオン、思い出した。私が男だったころの彼女の名前だ。敬と私はベットの片隅にかけている。シオンはもうすべて服を脱いでいる。
「綺麗な体している」
 敬が嫉妬したように言う。アキラはズボンを下ろして押しかかる。まるで自分を見ているようだ。
「アキラはダチだった。まさかシオンの彼になるとは」
「ゆかの彼女を狙っていたのかしら?」
「どうして?」
「私も女だったころそんな気持ちがあった」
 アキラのものが異常に反り立っている。まるでナイフのようにシオンの裂け目に突き刺さる。シオンの両足がアキラを抱えている。何時間たっても果てることはない。
「怖いな」
 だが私もずっとこうしていた。これをやったらやめれないのだ。でも私たちもこうしてセックスするように仕組まれている。
「見ていると辛いな」
「ゆか帰ろうよ」







2017/02/23 Thu. 07:57  edit

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逃亡6 

 敬を部屋で休ませておいて、私は体から出て記憶を辿りながら通天閣の街を歩く。商店街の臭いが懐かしい。足が自然に前に進む。そうだ。こうして毎日歩いていた。だが歩いてくる浮浪者の体をすり抜けてい行く。商店街が突き当たると体が左に曲がっている。
 看護婦に見せてもらったカルテでは1年前に手術が終わっている。恐らくこの街には1年半か2年前までいたようだ。祖母の家からいつここに来たのだろうか。いつの間にか通天閣が見えるところまで来ている。そして串カツの呼子の横に立っている。
「おい、またあいつを抱いたのか?」
「あいつはセックス病だ。擦り切れるまで求めてくる」
「ドラックをやっているのか?」
「らしい」
 この男を知っている。だが顔を覚えているだけだ。私は石段にかけて真っ暗になっても男を見ている。心になって外にいると寒くはない。敬はもう目を覚ましただろうか。外に出ないでと念を押した。なのに横を見ると敬が並んで座っている。
「外に出ないでと」
「私はゆかに引き寄せられる。あの男は誰?」
「分からない。でも顔を覚えていた」
 人通りが消えたころ男はいつの間にか串カツ屋の半纏を脱いで皮のジャンバーを着ている。男は腕時計を気にしながら居酒屋で飲む。私と敬は居酒屋の中の空いた席に並んで座っている。
「体を出ているとお腹がすかない」
「便利ね」
「でも残された体はお腹がすいてるかも」
「そうね」
「あれ、彼女かしら?」
 男の横に長い髪の女が座っている。









2017/02/22 Wed. 06:56  edit

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逃亡5 

「よくこんなところ知っていたね?」
 うす暗い商店街を抜けて路地に入ったところにこの簡易宿泊所の建物が並んでいる。私は買ってきた飲み物とパンを床に置いて100円玉を入れてテレビをつける。
「病院に運ばれるまでここに住んでいた。この部屋に入ってそれを思い出した。ここなら住民票もいらないし安いよ」
「何していた?」
「串カツ屋の呼子だよ。あの景色を見て思い出したの」
「すべて思い出した?」
「まだまだ欠片よ」
「私捨てないでね?」
「敬は私そのものよ。恐らく二人で一人でしか生きていけないと思う」
「またテレビに映っている」
 国家が動いている。この逃亡は思ったより難しいかもしれない。
「敬、入れてくれる?」
「いいの?」
「なぜか思いきり抱かれたい気分よ。舐めてあげる」
 大きくなったものを入れてくる。
「うまくなった」
「明日からのことは明日に考えよ」
「そうだな。でもここは風呂がないから終わったらお互いに体を拭き合いしよう」






2017/02/21 Tue. 06:50  edit

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逃亡4 

 新大阪まで仕方なく二人で眠り続けた。野球帽が役に立ったのか車掌に起こされることはなかった。
「お腹すいた?」
「すいた」
「もう少し辛抱してね?」
 大阪駅に出て環状線に出る。通天閣の記憶がある。祖母が死んでから大阪で出て通天閣の見えるアパートに流れ着いた。だがまだその記憶が戻ってきたわけではない。逃げようと思った時にその通天閣の風景が浮かんだのだ。天王寺と言う駅名は思い出した。地下道を出て通天閣を通行人に尋ねた。
「いつも定時に食べさせられていたからこんなにお腹すいたのは初めてだね?」
「もう歩けないよ」
「まだ始まったばかり、頑張るのよ。ほらあれが通天閣だよ」
 やはり懐かしい。通路を串カツ屋の呼子が溢れている。見慣れた風景だ。
「これ何?」
「珍しい?」
「なんで呼び込むの?」
「昔はそうではなかったようだけどね」
「美味しい店に連れて行くよ」
 通天閣の見える道から路地に入る。テントのような寂れた店がある。座ると昔のように串カツを頼む。ビールも飲んでいたようだが控えた。野球帽をかぶった敬が指を指している。テレビに敬と私のあの写真が写っている。やはり精神病院から抜け出したとアナウンサーが言っている。敬と私は姉弟と言われている。










2017/02/20 Mon. 06:53  edit

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逃亡3 

 静岡で新幹線に乗り換えた。敬は疲れたのかずっと寝ていた。私も同じ席で仲の良い兄弟のように肩を寄せ合って寝ている。だが私は自分の体から抜け出した。社内の中を歩き回って追手がないか調べた。どこにもそういう怪しいものは見つからなかった。
 車掌の手のスマホを見て吃驚した。病院にいた時の敬と私の写真が写っている。やはりもう外を調べ始めている。車掌がこちらに向かってきた車掌に話しかけている。
「これなんだ?」
「精神病院から逃げ出したらしい」
「人を傷つける恐れありとあるな」
 これは危ない。敬の格好を何とかしないと。私は座席をすり抜けながら子供の野球帽に手をかけた。服の中に入れると消える。体に戻るとすぐに敬の頭に野球帽を被せる。
「何を被せるの?」
「もう指名手配されている。帽子を被って私の胸に顔を寄せていろ」
「なんだかオッパイが気持ちいい」
「気持ち悪いよ」
「捕まるとどうなる?」
「恐らくモーレツに実験をされる。それで子供を産まされる。死ぬかも?」
「すると私も処分される?」
「カップルだから」
「せっかく生き残ったんだからまともな人生を送りたいのよ」
「私も」








2017/02/19 Sun. 07:01  edit

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逃亡2 

 幸いに始発のバスが止まっていた。近づくとドアが自動に開いた。
「見ない顔だな?」
 運転手が声をかける。
「このホテルに泊まっていた」
「そうか。違う運転手出来たんだな。もう少し待ってくれ。ここからは姉妹が乗ってくる」
 私は敬の肩を抱えて一番後ろの席に座る。
「この鞄うさぎのピンクはゆかの今の格好では似合わない。私が持つわ」
 私は後ろを振り返ってみている。もう陽が昇っていて病院の死体置き場の3階建ての建物の一部が見えている。
「この後ろに建物があるのですが?」
「ああ、あれは前嶋伝染病棟さ。今は2代目になって研究室になっているそうだ。時々医者たちがこのバスに乗る」
 姉妹が走って乗ってきた。同時にエンジンがかかる。
「まさかバスに乗ったと思っていない。でも病院中探したらやってくるよ」
 ゆっくりと山が遠ざかっていく。漁港に着くまで20人ほどが乗ってきてその半分がそのまま駅に入る。ここは単線だがプラットホームに両方向の列車が停まった。
「東京に行く?」
「いや、大阪よ」
「大阪にいた?」
「ドラックで運ばれるまで大阪にいたの」
 草の径は子供の時に預けられていた祖母の裏庭だ。大阪では夢にまで出てくるところはない。





2017/02/17 Fri. 06:58  edit

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逃亡1 

 まだ敬の力が弱いが何とか私の鼻を抓むことに成功した。私が起きたことでもう一人の私は消えた。すでに電源室の電気は落とした。これで部屋の扉は自由に開く。用意していた箪笥の中のピンク色の鞄を肩にかける。この中には看護婦の机の上の時刻表も入れた。敬に連れられて敬の部屋に入る。
「私鼻を抓んでも起きなかったら?」
「心配しないで」
 敬の鼻を抓むともう目を覚ましてもう一人の敬は消えた。そのまま急いで隣の部屋のトイレに向かう。これも何度も通り道を調べている。腕時計も医師の机から取ってきている。閂を開けて守衛室まで歩く。いつもより思ったより時間がかかっている。だがバス停では8時まで待たなければならない。
「道ってこんな感じだったんだ?」
 敬ははしゃいでいる。
「二人で逃げる仲になったね」
「バス停で待つ?」
「いや、ホテルの裏側から中に入れる。ここはいつもがら空きだから部屋で服を着替える。そのためにいつも来ていない服を持ってきた」
 部屋の引き出しから鋏を出してきた。これも前に調べていた。私はジーパンにTシャツに着替えると、思い切りバッサリと長い髪を切った。
「どう。兄貴になった?しばらく兄弟でいこうかしら」
 腕時計を見ると7時30分になっている。




2017/02/16 Thu. 06:44  edit

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外12 

『頼んでいた新しいジーパンとTシャツと敬のも用意して引き出しに入れたわ。靴は互いの前の靴が入っているわ』
 看護婦がメモ用紙に書いて渡す。
『何も聞かないでね。カップルの女の方は?』
『死にました』
 看護婦も今回の事件でこの病院の恐ろしさを知ったようだ。
「今日からベルトは外しますよ。だからパンツも履かない」
「方針が変わった?」
「新しいカップルが入るそうよ。今度は子供よ。どうも年齢が高いほど成功は難しいと医師が言っていた。でも12歳と8歳なのでセックスの実験は出来ないようよ」
『怖いわ』
『いつから彼らが来る?』
『もうカプセルに入っていて看護婦も決まった。明日調子が良ければ隣の部屋にデビューよ』
 その時を狙うか。
『新しい文庫本買ったね?』
『どうして分かるのか知らないけど。同じ机の上に時刻表を買って置いたわ。もう3か月後ここをやめるの。それと医者の話を聞いたけど、今度二人の体に位置情報を埋め込むらしいよ』
 それは不味い。





2017/02/15 Wed. 06:50  edit

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外11 

 敬も自分の力で草むらの径に出れるようになった。そこから年長のカップルの病室に行く。女は眠らされている。だが男のカプセルは空っぽだ。手術室に行く。
「手術台に乗っているの彼だよ」
「ああ」
 医師と医院長が男を覗き込んでいる。男は涎を流して白目をむいている。
「狂っています」
「馬鹿な奴だ。多大の実験費を無駄にして」
「どうします?」
「処分するんだ」
 医師は用意していた注射を腕に刺す。すると白目は閉じられてガードマンが車椅子に乗せる。
「女の方は?」
「駄目だ処分だ」
 私たちはモルモットだ。私と敬はのろのろと車椅子の後をついていく。あの建物のドアが開いて暗がりに灯りがともる。エレベーターに乗せられて3階に上がる。すでに殺処分が決まっていたのか空のカプセルが置かれている。
「悲しいね」
「そうね」
 カプセルが閉められて『999』番のプレートがぶら下げられる。次は相棒の女が『1000』番だ。
「今日荷物を鞄に詰め込んだ」
「いよいよだね」








2017/02/14 Tue. 06:48  edit

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外10 

「どうしたの?」
 カップルが部屋の端に集まっている。敬が私の腕を引っ張る。
「年上のカップルの男性が暴れだしたの」
 その男なら私を強引に抱いた男だ。医師とボデイガードが入口に並んでいる。カップルの女の腕を押さえている。こういう時は相手の女にも同様の反応が起こる。それを警戒しているのだ。ボデイガードが隣の専用の部屋から出てくる。手に袋を持っている。
「危険ドラッグだ」
「はやり前の看護婦が渡していた。君たちも持っていたら出すのだ」
 どうやら看護婦が彼に薬を渡して他の女を抱かせて撮影をしていたようだ。病院はそのことを正式には公表していない。
「すべての部屋を調べる」
 ボデイガードが2人また隣の部屋に入る。入れ替わりに医院長が部屋に入ってくる。
「全員薬を打って部屋に戻すのだ」
 様相が変わってきたカップルの女から注射が打たれる。車椅子が運ばれて来て医者が外に運び出していく。
「君はここに座れ」
と医院長が私に言う。次々と注射が打たれて運び出されていく。
「私は私の想定通りのことが君たちに起こっていると確信している」
「想定のこと?」
「そうだ。私の実験は成功したのだ」
「残念ながら」
「私は君たちをマークしている」











2017/02/13 Mon. 07:00  edit

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外9 

 敬の体が透明になってくる。寝ている敬は眼を開いているが、夢を見ているようだ。
「聞こえる?」
「小さくしか聞こえない」
「やはり、どちらかが起きたら片方は消えるようだね」
と言って私は寝ている敬の目を閉じる。と言うことは体と一緒に逃亡を始めたら、今使っているの能力は使えないことだ。もし能力を使いながら逃亡をするには体をどこかに隠す必要がある。そのためには敬も自分で夢の中の入って私を起こす力も持ってほしい。
 ドアが開いて医師が入ってくる。
「何かあったのか?」
「いえ、何も?」
 新しい看護婦が答える。
「微弱な電波反応があった」
「起きたのかしら?」
「医院長がピリピリしている。目を覚ましたから電波反応が起こるのだと思うが、医院長は体を抜け出してこの部屋を出て歩き回っていると思っている」
「そんなことあるんですか?」
「この人体実験自体がそういう可能性を見つけようとしているのだ」
 医院長は私たちが体から遊離することを想定している。いやそれ以上を求めているのかもしれない。政府はそれに金を出している。
「急ぐ必要があるのだね」
 敬が耳元で私に言う。








2017/02/12 Sun. 07:14  edit

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外8 

「敬どうだ。指が使えるようになったか?」
 草むらの径で出会ってから経理の部屋に行ってみた。ここでバスに乗る小銭を手に入れる。
「抓んでみて?」
 敬が凄い力を入れているのが分かる。顔が真っ赤だ。
「指先だけに力を込めるの」
「こう?」
 まだ100円玉が指先から零れている。私が10枚を握ぎる。敬はそれでも一度掴んだ。
「その感触を忘れたらだめ」
「次は敬の部屋に行く」
 敬はカプセルにベルトで縛られて寝ている。
「縛られている」
「パンツを捌かされているよ」
 右手で敬の鼻を掴む。
「どうする?」
「鼻を抓んだら起きるらしいの」
「私は二人になるのかな?」
「分からない。確かめてみたい」
 指先に力を入れる。敬の鼻先を掴んだ。顔がゆがむ。起きるのか?目を開いた。敬が消えたのかと振り返る。






2017/02/11 Sat. 07:25  edit

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外7 

 朝目が覚めると体がベルトで縛られている。
「ごめんね。医院長からゆかと敬をしばらく寝ている間拘束するようにと通知があったの」
「どうして?」
『やはり微弱の電波が反応しているとのこと』
『人体がこの電波に当たるとどうなるの?』
『私たちがこの電波を抜けると赤い光になるの。技師が言うにはこの赤い光を分析すると人物を特定できるようなの』
『それで微弱の電波では?』
『人かもどうかわからないそうよ』
 微弱の電波では何も確認できないのだ。だから今度は寝ている私たちが動き回っているのではないかと疑っているのだ。
『寝ているときは部屋は?』
『原則電灯を消している。だからその時は監視カメラは回っていないのよ』
 夜に目が覚ませないものか。これは試してみる価値がある。だが体が起きたら空を動いている私たちは体に戻されてしまうのか?まだ私たちは今の能力をすべて使いこなしているわけではない。
『私が起きる時間は前もって知らされているのですか?』
『それはね、薬で調節しているのよ。でもねきっちりと言うわけでもないの。だから私が来ても寝ているときもあるわ。私はそういう時はゆかの鼻を抓むわよ』
 鼻を抓んだら起きるのか。
「トイレに行きたいのだけど?」
「ベルトを外すわ。でもそれより前におむつを脱がすわ。綺麗に拭いてあげる」
 大きなおむつを履かされているようだ。









2017/02/10 Fri. 06:48  edit

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外6 

「ゆかには関係ないけど大変なんだよ」
 看護婦が困った顔で私の顔を見る。
「また目覚めなかった?」
「それもあるけど、給料のお金が百万なくなったの。それで経理の責任者が調べられているの。私たちも調べられたわ」
 やはりばれていたのか。だが監視されていて部屋を出れない私たちは疑われていないようだ。
「それがね、この経理今までに2千万ほどごまかしていたようなの」
「でも外に出れないのじゃないの?」
「医者や経理は看護婦と違って休みになったら町に出ているのよ」
 と言うことはあのバスに乗って船に乗って町に出ている。そこから東京にも出ている?
「東京はどれくらいで行ける?」
「医者の話では3時間半はかかるらしいわ」
「私って鞄って持っていた?」
「あるけど、これは敬の持っていたものよ」
 箪笥の上の箱からピンク色の鞄を出してくる。へえ!可愛い鞄だ。
『二人ってどうなの?』
 看護婦がメモ用紙に書く。
『モルモットみたいな生活は嫌いだけど、敬に会えたことは嬉しい』
『いいね。羨ましいわ。私なんか好きな人に出会えなかったわ』
 そう言えば前の自分は好きな人に出会えなかった。











2017/02/09 Thu. 06:58  edit

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外5 

 敬は旅行気分だ。草の径で出会ってあのホテルの部屋に泊まって、前と同じ一番のバスで漁港に出る。それから10分待って船に乗る。予定通りだ。
「海っていいな」
「記憶があるの?」
「分からない」
 船には男女の生徒が5人乗っている。敬は船べりにしがみついたまま何か歌を歌っている。私は時刻表と地図を見ている。
 船が着くと生徒の後ろに続く。
「あれが駅だな」
 敬はうろうろ町の中歩き回っている。
「ねえ、迷子になるよ」
「たまにはセックスばかりしないでゆかと歩くのも楽しい」
「そうだね。でもセックスするように仕組まれているのよ。でも外に出たらセックスをしない日も作るろうね」
「腕を組んでくれる?」
「それは敬が腕を強引に組めばいいのだよ」
 駅に着くともう改札が始まっている。ここは普通しか止まらないようだ。東京に出るのがいいのか?
「乗らない?」
「駄目だよ。今日はここから引き返す」
「ゆかはどこに住んでいた?私は錦糸町だけどいい思い出がない」
「そうか。私も東京で育ったけど、生まれは大阪よ。大阪に行く?」







2017/02/08 Wed. 07:01  edit

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外4 

「今日はどうする?」
「外に出る前にお金を何とかしたい」
 前から調べていた医院長の隣の部屋に入る。今日は聞いていた給料日だ。看護婦の話では現金払いらしい。部屋に入ると封筒を並べて経理がお金を数えている。最近は目を閉じると草の径にすぐに入れる。敬もどうにか同じことができるが起こしにいかないと起きれない。
「なんだか嫌な気がする」
「体を連れて行くには金がかかる。お腹もすくしバス代もいる」
「うん」
 経理の男がテレビを見ている時に金庫の中の顔を突っ込む。札束を持ち上げる。だがこれをポケットに入れて部屋に戻れるか。指で握りしめて部屋に戻る。
「敬一緒に来るの」
 次の瞬間私のカプセルの部屋に戻る。看護婦が寝ている私を見ている。
「お金は?」
「ここに握っている。ポケットの中では無理だったろうね」
「でもどこに隠す?」
「新しいジーパンのポケットに入れておこう。今度は漁港から船に乗ろう」
「船に乗りたいな」
「だがまだ慎重に調べる必要があるよ」







2017/02/07 Tue. 07:12  edit

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外3 

 久しぶりに部屋に出ると敬の姿がない。例の男が一人私たちの定位置に座っている。
「お互いに相棒は来ない。これからは私とベットに入るように医院長から言われている」
と言うなり腕を引っ張って部屋に入る。私は逃げようとするが体が動かない。セックスモルモットして教育されているのだ。ベットに倒されるとジーパンを脱がされる。
「なんでこんなのを履いている?」
 もう男のものは反り立っている。体は完全に教育の指導下にある。心はそうではない。
「どうだ気持ちがいいだろう?」
 男のものが私の中に入っている。私は夢の中に逃げようとする。だがこの日は不思議とそのまま草の径に出た。思い通りに現実と夢の世界を行き来できるのだ。敬の部屋に向かう。敬はカプセルの中で寝ている。
「敬起きろ?」
 眠そうに眼をこすって敬が起き上がってくる。もちろん新しい看護婦は目の前にいて気づかない。私は敬を引っ張って先ほどの部屋に立っている。
「ひどい。ゆかが犯されている」
 私が死んだように横たわっているのに構わず男が腰を振り続けている。
「これは医院長が仕組んだことだ」
 手を引っ張ると1階の医院長の部屋に入る。パソコンの画面に今のゆかと男のセックスが映されている。医師が2人電波の曲線を見ている。
「気配が消えました」
「やはり体を抜け出したのだ」
「でもそんなこと可能なのですか?」
「今は抜け殻だ。だがどうして抜け出たゆかを捕まえられるのか?」
 医院長は確信している。










2017/02/06 Mon. 05:48  edit

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外2 

「どうしたの?」
 看護婦が首をかしげて声をかけてくる。
「こちらこそどうしたの?」
「あなたが目を覚まさないから大変だったのよ。あの敬も同じ症状になった。それで手術室に二人運び込まれたのよ」
 そうだあの日朝までホテルの空き室に泊まって、朝一番のバスに乗り込んだ。
「心臓は止まっていないけど、死んだようになっていたそうよ」
 バスは2時間ほど山の中を走って港に出た。もちろん見えないから料金もかからない。小さな漁師町で10分ほどで桟橋に出る。ここから電車が走っている町に出るようだ。敬はもう有頂天で船にも乗ろうと言うが引き返した。
 どうもこうして体の外に出ているときは体は起きることはないようだ。そんな体を切られたり焼かれたらどうなるのだろうか。
『医院長はどう?』
『カルテには外に出ているとコメントがされている』
 看護婦もメモ用紙で答える。
『どのくらい寝ていた?』
『2日半。どんな夢を見ていた?』
『空を飛んでいた。この病院の下には小さな漁港があるのですね?』
『この下にも漁港があって私もそこからここにバスに乗ってきたわ』
 やはり夢ではない現実にそこに行ったのだ。
「ズボンの履き心地は?」
「よかったわ」
「もう一着注文しておくわ」






2017/02/05 Sun. 07:00  edit

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外1 

「敬迎えに来たよ」 
 カプセルの中で眠っている敬に声をかける。そうするとするっと敬が立ち上がる。
「今日はズボンを履いてる?」
「ああ、ズボンに着替えて寝ると夢の中でもズボンを履いているの」
「いろいろなルールがあるんだ」
「今日は門を出るよ」
 守衛室には明かりが点いているが誰もいない。
「すり抜ける?」
「いや、閂を開ける」
 指先に力を集める。指先が熱くなる。指が閂を掴む。
「凄い!」
「医院長はこういう力が備わると信じている。だがどうすればこういう人間が作れるかの核心は持っていない」
「私にも?」
「使えるようになる。さあ門を出る。しばらくこの道を歩いてみよう」
 トイレの窓から見えるくねった道も今は真っ暗だ。
「今日は時間がないから空を飛ぶよ」
「空を飛ぶ?」
「どうも体がないので空間をすり抜けることができるようなの。ほらあそこにホテルが見える」
 その道に入るのに鎖がかかっている。そこから道路が広くなっている。
「ここからバスも出ているよ」
 一日に5本しか便がない。
「逃げる時はここからバスに乗る」
「飛べない?」
「逃げる時は体も一緒だ。幽霊でいれないからね」









2017/02/04 Sat. 05:47  edit

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抜け径11 

「大変だったのね?」
 敬のところに移っていた看護婦が顔を覗き込んでいる。
「今日からまた私が担当だからね」
「敬のところは?」
「新しい看護婦だから安心してね」
「どうなった?」
「説明はなかったけど看護婦が1名に、医者が2名、ガードマンが2名変わったわ。いろいろ悪い噂があったの」
『でも気をつけないとダメよ。医院長はこれとは別にマークしているわ』
 メモを書いて渡す。
『文庫本が好きなんですね?』
「どうして?」
「いえ何となくです」
『やはりここの医療は問題があるわ。1年契約が切れたら辞めようと思うわ』
『力になってください』
「私はスカートしかないのですか?」
「そんなことないわ」
と言って箪笥の中を見る。
「ジーパンもあるのよ。だけど可愛く見えるのでスカートが主流よ」
『やはり私たちはモルモットですね』




2017/02/03 Fri. 06:49  edit

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抜け径10 

「これは医者に聞いたけどあなたの彼、今日は年上の女の子とベットの中よ」
 私は若い看護婦を黙って睨んだ。
「これは医院長の許可を取っている」
と言って自分のスマホを見せる。そこには敬の上に全裸の女の子が跨っている。カメラが自由に動き回って敬の表情をうつす。医者がカメラを構えているのか?
「あなたは何を隠しているの?」
「何も隠していない」
「あなたも彼に抱かれるのよ。私カメラを回してあげる」
 医者がズボンを下げて乗りかかってくる。医院長が本当にこんな指示を出したのか?私の画像も敬に送られているのか?私は体を突かれながらカメラに向かって頷いた。敬の顔もそれに合わせて頷いている。我慢するんだ。出来るだけ早くここから出よう。
 ドアが開いて医者とガードマンが入ってくる。私の上に乗っている医者が抱えられる。看護婦もそのまま部屋を出される。敬の画像も同じことになっている。何が起こったのだろう?入ってきた医者が私の腕に注射をする。麻酔だろう。私は薄れる中でそのまま草むらの径に出ようとする。
 やはり草の径には敬はいない。そのまま敬のカプセルに向かう。先ほどカプセルに運び込まれたようだ。敬を呼ぶが反応はない。看護婦が心配そうに顔を覗き込んでいる。思い切って敬の中に入ろうとしている。
「敬大丈夫か?」
「私の夢の中に入った?」
「入れたよ」







 

2017/02/02 Thu. 06:46  edit

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抜け径9 

 今回は敬の部屋に行って夢の草の径に連れ出した。敬は非常に体が重いようだ。カプセルから手を引っ張って草の径に取れだす。それから一度秘密基地に入って例のトイレの裏に来る。まだ私が挟んだメモ用紙が残っている。ここはほとんど開かない扉のようだ。
 やはり鍵ではなく閂が降りているだけだった。私は持ってきた紐を閂の間に差し入れる。その紐を指で引き揚げようとする。指先が熱くなってゆっくりと閂が上がる。
「凄いよ」
「これだけじゃなくドアも開けられるはずだよ」
「私には電波でも縛られているよ」
「まだ力が弱いのよ」
「次は守衛の門に行く」
 ここも閂だ。だがここには守衛がずっといる。
「トイレから見ていたのだけど、夜は守衛がいないと思う。今も守衛室は灯りは点いているけど」
と言って中に入る。
 机には誰も座っていない。壁には交代のスケジュールが貼ってある。夜8時から朝の7時までは守衛はいない。
「やはり逃げないとダメ?」
「恐らくモルモットにされるよ」
「時間的には?」
「猶予はない。次は一度この道を出てみよう」







2017/02/01 Wed. 06:51  edit

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