ふたり

ゆかと敬は全く違う人生を歩んできて別々に死んだ。男と女が入れ替わり新しい人生が始まった。

踏み込む1 

 金子がワゴンを借りてきた。ここは金がないので車を使うときはいつもレンタルだ。今日は事務所は閉めて全員が車に乗っている。駅前ビルの地下のガレージに入れる。金子は『Mオフィス』を表から出入りを見張る。チエは車の番と連絡係だ。私は後ろに毛布に包まって眠る。
 事務所の前に来るとトイレから金子が覗いているのが見える。もちろんドアを通り抜ける私は見えない。部屋には受付だけで誰もいない。応接室から声が聞こえる。
「あの女の子をどうしましょう?」
「今更救急車を使うのも不味いでしょうね。元気な人体を使うのはさすがに初めてです。医院長と相談してみます」
 これはあの医者だ。前にいるのは髭の社長だ。医者は携帯で医院長を呼び出している。私はその耳元まで近づく。
「あのシオンと言う女を捕まえたのですが、どうしましょうか?」
「今週刊誌に狙われているから、あまり大胆なことはできない。まずそちらなら天王寺の病院に連れて行き、君が適性検査をするのだ。適性内容は君にメールを送る。病院には私から連絡を入れておく」
「はい。さっそく」
 医者は携帯を置くと、
「でどこに?」
「暴れたので近くのラブホテルに監禁しているようです」
「まさか検体に手を出していないよな?」
「・・・」
 自身がないのか社長は答えない。
「まあしかっりやっている女らしいから1度や2度はどうってことない。それよりまずそのホテルに連れて行ってくれ」
 社長は携帯を入れて机のメモ用紙に『メランコリー301』と書いた。








スポンサーサイト

2016/09/30 Fri. 06:47  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △

初めの一歩11 

 夜8時に『橋本』の前に戻った。敬がみよちゃんと探し回っていてくれたようだ。
「確かに見たのよ」
「それはいつだった?」
「4時だったわ。窓から少し覗き込んでいた」
「敬はいつカラオケ居酒屋に行った?」
「出前に帰ってきてからだから4時半かな」
「その時間だとまだ女の子は来ていないよね?私今から行ってみる」
 私はその足でカラオケ居酒屋のドアを開ける。敬が後ろから着いてくる。
「シオン来なかった?」
「見てないね」
 年配の女が振り向いていう。
「いや、ここに入ってくるときに表で見かけたぞ」
「何時だった?」
「5時を少し回っていたな。またシオンが戻ってきているのかと楽しみにここに入った。だがいくらたっても入ってこなかった」
 入口で『Mオフィス』の連中が張っていたのだ。今回は救急車と言うような手の込んだ方法を使っていない。シオンはマークされていたのだ。
『シオンが『Mオフィス』に捕まえられた』
 メールを金子に入れた。
『一度マンションに戻ってみる。明日大阪駅前ビルに行こう。何か動きがあるかも知れない』





2016/09/29 Thu. 06:05  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △

初めの一歩10 

「この証拠は抜群だがどうして撮ったのか説明がつかんぞ」
 机に私が撮ったベットに絡む不倫カップルの写真を投げ出す。チエはう!と言ったまま顔を覆っている。私はもう鞄を抱えて立ち上がっている。
「電波は神戸あたりだ。場所を特定するのに時間がかかる。何度も神戸に通う気で行け」
 金子は不倫カップルの奥さんに説明して、弁護士事務所の依頼の案件で京都に行く。この事件が入ってから初めての商売繁盛だと言う。
 2時間少しで三ノ宮駅に着くまず海側に降りてみる。それから駅の中を抜けて山側に出る。微かに山側が電波が強い。坂道を歩く。もう1時間半山際まで歩いているのにまだ奥を示している。あの看護婦は辞めてからもう3か月は経っている。じっとホテルに泊まっていることはないと思う。どこか病院に勤めたはずだ。
『チエ三ノ宮の山側の病院を調べて?』
 メールを送って山道を歩いていると、3件の該当する病院を打ち出してきた。私はその中で精神病院を選んだ。山に入って1時間で山の傾斜に建物が見えた。門まで歩いたが鉄格子は閉まったままで大きなワゴンが留まっている。取りあえず建物の塀を回ってみる。どの位置からも電波は中を示している。この中にいる。
『ゆか今いい?』
 敬からだ。
『どうした?』
『シオンが『橋本』の前を歩いていたとみよちゃんが言っていた。それでカラオケ居酒屋などを探したんだけど見つからない。探すの手伝ってほしいんだ』
『分かった。今から戻る』
 ここから中に入って看護婦を見つけるのは難しい。それに看護婦を見つけても病院の調査に結びつくかはわからない。




2016/09/28 Wed. 15:24  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △

初めの一歩9 

 結局その夜金子のマンションに私が泊まった。敬に連絡するとみよちゃんと泊まるようだ。夜に3時間もシオンと凹凹をしてようやく大人しくしているように約束させた。今日はまた尾行の調査で不倫のカップルを追いラブホに入る。いつものように後ろから入って部屋に入る写真を撮る。それから1時間部屋にいて先に出る。ここからが外での見張りになる。
 ここはちょうど赤ちょうちんがあってそこの窓でビールを置いて張り込む。
「2時間で出てくるときもあるし、朝まで泊まられたら負けだ」
「いつも一人で?」
「チエを連れてやったが震えていて駄目だったよ」
「一人じゃ警戒されるものね」
 窓の外を見ながら話をする。出てきたら支払いは残ったものがする。私は路地を歩いてくるカップルを見て驚いた。あの医師と辞めさせられた私の担当の若い看護婦だ。
「もう一度一緒にホテルに入って?」
 金子の手を引っ張って前のカップルの後ろから入る。
「あれは誰だ?」
「あの病院の医院長の片腕と私の元担当の看護婦です」
「ついでに仕事のカップルの部屋も撮って二人の部屋に入ります。私は今から寝ますが起こさないでください」
 最近は眠るのも自由になった。驚いて見詰めている金子を見ながら初めに入った部屋で写真を撮って、次には医師と看護婦の部屋に入る。もうすでにシャワーも浴びないで全裸で絡んでいる。私は動き回って写真を撮る。2時間がったってようやく風呂に入った。
「気が狂いそうだったのよ」
「悪い。来月に辞める予定だ。これ以上いたら使い込みもばれるし、どうも今のプロジェクトも怪しい」
「これは当座の金だ。1千万ある」
 持っていた鞄を開けて渡す。
「それとこの通帳は今は引き出すな。足がつくかもしれない。ほとぼりが冷めてからだ。それとこのUSBは身を守るお守りだ」
と言い終わらないうちに看護婦が医師のものを咥えている。シオンに劣らないエロ女だ。とっさに鞄に発信機を投げ込んだ。これは逃がしそうになったら使えと金子に言われていた。






2016/09/27 Tue. 07:03  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △

初めの一歩8 

 敬の話では『Mオフィス』の名刺を持った男たちがカラオケ居酒屋に押し掛けてきたそうだ。危機一髪だ。敬は髪の毛が伸びてちょっと見たら女の子に見える。私はショートカットのリクルートスーツ姿だ。あの写真では捕まらないだろう。フリーライターの第2弾が出た。
 これをテレビで取り上げるところが出てきた。人体実験疑惑!とちょっとしたオカルトの取り扱いだ。この記事の提供も週刊誌から行っているので小山に収入が入るようだ。
「今月から調査費が100万になっている」
 チエが嬉しそうに言う。どうも私に対しては警戒心がなくなったようだ。
「金子探偵はどうしたの?」
「調査先に直行すると言っていたけど、何だか慌てているふうだった」
 それでシオンの携帯にかけた。
「ああ、ゆか?暇を持て余して死にそうよ」
「もしかして朝探偵を襲わなかった?」
「まさか朝に来ていた?」
「襲ったのね?」
「立たないって言ってたのに、立派に立ったし、どくどくと白いのを流してたわ」
 それで血迷って会社に遅れた。
「かどわかしては駄目よ」
 シオンが人体実験に使われるのは困るのだが、金子を腑抜けにされるのも困る。
 夕方やつれた顔で金子が戻ってくる。
「今日は私も泊まりましょうか?」
 買い物袋に弁当と缶ビールが入っている。
「二人で攻められえたら死ぬわ。しばらくここのソファで泊まるわ」






2016/09/26 Mon. 06:20  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △

初めの一歩7 

「飛んでもないファイルだな。よくこんなのが手に入ったな」
 金子がファイルを手に口から泡を吹いている。
「小山と話したが、このファイルは確かに公安のナンバーが付いている。このナンバーは極秘案件と言うことらしい。東京の元公安の探偵に聞いた。やはり公安が動いていたのは事実だった。その彼が言うにはこの指示はもっと上から来ていると言っていた」
「上?」
「公安は自分から仕事を増やすことはない。それにあの病院の医者が来ていたのは危険だよ」
 今朝は寝ているシオンを叩き起こしてきた。
「しばらく預かるが想像していたよりエロイな」
「体が子宮なんです」
 応接室で長い足を拡げて寝ている。スカートの奥に黒のTバックが見えている。
「襲われますよ」
「いや私はもう立たない。妻と離婚したショックから駄目になっている。店には?」
「田舎に帰ることになったと敬が伝えています」
「店は住まいは?」
「そんな申告のいらないところなんです。出来るだけ次のところを探します」
 シオンが起きて肘をついてこちらを見ている。
「まだ狙っているんだ」
「そう。シオンは女でいたいでしょ?」
「女がいい」
「オッパイが見えているよ」
 金子が慌てて目をそらしている。これはもう陥落だ。








2016/09/25 Sun. 07:26  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △

初めの一歩6 

 夜中に敬と私はシオンに起こされて2時間も汗だくのハードな運動につき合わされた。それで今朝はシオンはTバックもつけないで爆睡している。敬は目をこすりながら『橋本』に出かけた。私は今日はそのまま布団に潜り込んで眠る。
 金子探偵が例の大阪の調査会社の表からの調査をした。今日はそれに基づいて裏の調査に入る。金子の言う大阪駅前ビルの1室にすり抜ける。ここは彼の調査では元公安出身の社長だと言うことで、公安がらみの調査をよく受けているとのことだ。『Mオフィス』とドアに書かれている。
 思ったより広いフロアーにスーツ姿や私服の男女が5人座っている。隣の部屋に応接室と社長室がある。
「どうだ。調査の状況は?」
 60歳くらいの髭の男が前にいる社員に聞く。
「逃げ出した男と女が大阪にいると言うことですが、私が思うにその女が昔住んでいた通天閣辺りの簡易宿泊所やホテルに昨日から5名入れています。だがこれといった手掛かりはありません」
 やはり私たちを探している。
「それとアキラが攫う予定の女は?」
「これは見つけています。カラオケ居酒屋で働いています。どうしましょうか?」
「公安に連絡して聞いてみる」
 シオンもまだ狙われている。ドアが開いて受付の女が覗く。社長は依頼ファイルを机の上に置いて部下と出ていく。私は指先に力を込めるとそのファイルを開いて携帯で撮る。まだまだ私の知らない能力があるようだ。着ている服の中に入れてしまえば見えなくなるのだ。
 フロアーにでるともう社員は誰もいない。受付の女がコーヒーを運んでいる。応接室に入ってみて驚いた。そこにいたのはナンバー2のあの病院の片腕の医師だ。










2016/09/24 Sat. 07:16  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △