ふたり

ゆかと敬は全く違う人生を歩んできて別々に死んだ。男と女が入れ替わり新しい人生が始まった。

攻防7 

 冴は公安の正門を塞ぐために道路公団の工事車両を3台集めた。それと救急車も1台用意してその助手席に乗って全体の指揮をしている。秘書がこの施設を出てから半日が過ぎている。その夜に私と敬が透明人間となって潜り込む。秘書に警備が付いていったので閑散としている。
 メランゲの建物に入るとシオンの部屋を調べる。やはり侵入妨害の電波の電源が入っている。前回入った時に廊下に電源が埋め込まれているのを見ていた。敬がその場所を覚えていて電源を切る。部屋をすり抜けるとシオンはカプセルで寝ている。肌着が捲れていてつんと尖った乳首が見えている。精液の臭いが残っている。秘書はぎりぎりまでシオンを抱いていたのだ。
「ゆか目を開けた」
 敬の視線を追う。シオンがゆっくり目を開ける。
「シオン思い出すか?」
「覚えている。ゆかと敬と3人でよく遊んだね?」
「動けない?」
「神経がうまく繋がっていないようなの。彼女が応急処置だからと言っていた」
 秘書を何とかするためにシオンのことは考慮されていないのだ。だが敬と二人でシオンをこの部屋から運び出せるのか。持ち込んできた警備員の制服を着せる。私が体を抱き起こすが敬は足が持ちあげれない。まだ重たいものを持ち上げるところまで来ていないのだ。仕方なく私がシオンを背負う。敬はドアを開けると電源を入れて部屋を閉める。隣の部屋が空いているのを確認していた。冴の携帯に着信する。
 ほとんど同時に塀の向こうからサイレンの音がする。窓から救急隊員が3人入ってくる。先頭の一人が冴だ。入口で押し問答がする。だが担架を持った2人が上がってくる。これは特捜隊員だ。警備員の制服を担架に乗せて毛布を被せる。僅か10分ほどの時間で救急車はもう走りだす。








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2018/06/23 Sat. 07:35  edit

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攻防6 

「シオンは記憶があるよ。だが動けない」
 冴の車に乗って特捜本部に行く。特捜本部に入るといつもより警戒が厳しくピリピリしている。
「どうした?」
「どうも選挙の状況が怪しいのよ」
 冴が耳打ちをする。内閣府の顧問が来ている。
「暴露合戦になっているが、秘書の証言が強く行方が怪しい」
「あの週刊誌の記事では弱いのですか?」
「地検に圧力がかかったのだ。どうももう官僚が力関係で動き出したのだ」
「政権与党なのにですか?」
「与党と言っても負けたら野党になる。そういうことで動く派閥が多いのだ。だが今与党が負けるとメレンゲの件は闇に葬られる」
 これは私に向かって言っている。
「秘書を封じることはできないか?」
 顧問が言う。
「秘書は病院長の息子です。だが最初の実験では相棒の相性が悪くて透明人間になれないでいたのです。でも今回再手術をしてシオンで成功しています。彼は透明になって私と同じ力で動き回っています。でも今回シオンに会ってシオンは記憶を失っていないと言うことが分かったのです。それとシオンと頻繁に交わることで秘書は辛うじて動いていると」
「なるほど」
「シオンを奪還するのです」
「シオンがいなければ秘書の動きを止められるわけだな?」
 顧問がGOを出した。冴えがリーダーとなって特捜を50人を配置する。私と敬がまたメランゲの本部に潜り込む。秘書が2度目の証言に国会に行く日を選んだ。秘書の警備で公安が100人駆り出される。となるとメランゲの僅かな警備員と職員だけだ。








2018/06/22 Fri. 07:01  edit

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攻防5 

 シオンと部屋の中にいたのは僅か30分だった。医者が出て行き同時にまたセンサーのスイッチが入れられた。
「ゆか気づかなかった?」
 敬が言う。
「シオンは私たちが見えていたと思う。瞳が動いていた。だが私たちと判断したかは分からない」
 私の経験から行くと昔の記憶がぼやっと記憶の奥で残っている。だがそれはシオンではなくて交換された秘書であるはずだ。秘書の中にシオンは眠っているはずだ。階段の隅で敬と囁き合う。
「秘書が帰ってきた」
 敬が廊下を歩いてくる秘書を指した。秘書はずいぶん疲れているようで、額の汗を拭っている。何度か見た秘書とは別人のような雰囲気がある。鞄からセンサーのスイッチのリモコンを出して切るとドアを開けてカプセルに地被いていく。私は敬を引っ張って部屋の中に入る。秘書はカプセルに顔を突っ込んでいる。
 秘書は服を脱いで全裸になってシオンに重なっている。シオンの性欲があまりにも強かったのだ。カプセルのシオンも全裸にされて交わっている。私が覗き込んでいるとシオンの目が光る。やはり見えているのだ。敬も気づいたのか私の腕を掴む。
「シオンの口が動いている」
 まさかと見たが間違いなく動いている。
「また来たゆかだね?」
と言っている。
「シオン分かるの?」
「体は動かないけど意識はしっかりしているわ。でもあの秘書は私から力を奪っているけど、秘書の彼女も私の影響を受けている。でもどこまで及ぶかはまだ試しているところよ」
「体から抜け出せない?」
「それはだめみたい」
「秘書は透明人間になる?」
「できるみたいだけどまだ長くは無理なようよ。こうしてしっかり私を抱かないとだめなの」
「また来るわ」








 

2018/06/21 Thu. 06:42  edit

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攻防4 

 秘書が国会に出ている。これをラブホテルで3人でテレビを見ている。遂に我慢が出来ずに冴が裸になって敬に跨っている。ゆかは珍しくテレビに見入っている。これは先日野党の事務長の部屋で見た秘書の視線だ。
「やはり秘書は大きく変わっている」
「どうして?」
 冴がとろんとした目で私を見る。
「目が緑色に光っている」
 敬にも見えるようだ。ひょっとしたら秘書は透明人間になれるようになったのかもしれない。
「冴、もう一度メレンゲの本部に潜るよ」
 それから二人はメレンゲの新しい部屋の前の廊下に立って戸惑っている。いつの間のこんな部屋ができたのか。入り口にもすべての壁周りにも天井にも床にもセンサーが付いている。明らかにゆかが来るのを想定している。全てもセンサーをここに集めたのだ。まだ秘書は国会にいる時間だ。
「なぜこの時間に?」
「秘書が戻ってきたら容易に潜り込めないよ。私はこの部屋にあの福島の相棒がいるような気がする」
「と言うことはシオンは殺された?」
「必要なものを抜き出したと思う。だがこれでは入れない」
 2時間も廊下の隅に座っている。これ以上経つと秘書が戻ってくる。その時白衣の医師が二人鍵を持って現れる。一時センサーの電源が切られたようだ。このセンサーは体にはよくないようだ。開いたドアに飛び込むように二人で入った。白衣の医師がカプセルを開いて腕に注射をする。
 これは!あの相棒ではなくシオンだ。
「どうしてこの女が?」
「あの男は今の彼女と相性がどうも悪い。それで医院長が生命力の強いこの女に賭けたそうだ」
「同性のカップルは初事例ですよね?」
 シオンの顔を覗き込む。目が開いた。






2018/06/20 Wed. 07:03  edit

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攻防3 

 特捜の調査結果で秘書は公安の本部にいると言う。冴が特捜を配置して私と敬は近くのラブホテルに入った。だが冴も同じ部屋なので抱き合うわけにはいかない。彼女は携帯で特捜からの報告を聞いている。
「彼女が車で出たよ。野党の本部に向かったようよ。ゆかも行って」
 二人が横になると次の瞬間見覚えのある事務長の部屋に入る。私は慣れない敬と本棚に隠れる。ソファーに反主流派のボスが掛けていてその前に秘書が座っている。事務長は自分の椅子に掛けている。
「小山と言う記者の記事は本当なの?」
「ああ、悪い。こちらに隠していたが見当たらない」
「だからどうしても国会の証人喚問が必要なのだ」
「あのゆかに盗まれたのでしょう?」
 どうも前見た時よりも精力を感じる。
「で総選挙は?」
「互角だな」
「父がメランゲの資金を使われるのを嫌がっていますよ」
「この選挙に勝ったら倍にして戻すさ」
「でも今の党首では心配ですな?」
「勝てば追い出すさ」
 秘書が戻るので二人も外に出た。
 目を覚ましたら前に冴の顔があった。
「どうだった?」
「秘書が来ていた。元気そうだった。国会証人喚問に出ると言っていた」
「やはりな」
「秘書は私たちを感じていたような気がするわ」
と敬が言う。











2018/06/19 Tue. 07:21  edit

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