ふたり

ゆかと敬は全く違う人生を歩んできて別々に死んだ。男と女が入れ替わり新しい人生が始まった。

夢7 

「久しぶりだな」
 敬がドアから入ってくる。もう何日も敬の姿を見ていない。
「久しぶりかなあ」
 実感がないのだろう今起きたような目で私を見ている。
「手術していた?」
「そうらしい。ゆかも手術したわけ?」
「らしい。初めて触れたが凄く感じた。敬はオナニーした?」
「まだ」
 敬の顔はどこかで見たようで懐かしい。
「教えようか?そちらは長いのでね。向こうの部屋に入る?」
 敬は頷いて男らしく部屋のドアを開ける。もう3つの部屋は閉まっている。私たちが一番最後だったのだろうか。私は服を脱ぐと自分でも驚いて体を見る。
「綺麗ね」
「昔の自分を見るようだよ。私はちょっとしばらく慣れない」
 逆に私にとって懐かしい。ゆっくり掴むともう手の中で反り立っている。いつの間にか口の中に含んでいる。
「気持ちいい?」
「うん」
 まだ慣れないのかもう口の中で破裂している。
「こんな味がするんだ?」
「本物かしら?」
「確かめる時もくる」
 








スポンサーサイト

2017/06/28 Wed. 06:05  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △

夢6 

「いつも夢を見るけどどちらが夢なのかわからないんだ」
 入ってきた看護婦に声をかける。
「そうねここにいるというのもそうかもしれないね」
「ここを出ると街があるんだけど?」
「そんなところあるの?ここは山と海ばっかりと思っていたけど」
 あの街も夢の中かも知れない。
 ドアが開いて白髪の医者が入ってくる。急に看護婦が慌てて口を閉ざす。
「体調はどうだ?」
「はい」
「下のものは使ったか?」
「いえ」
 この医者は私が男から女に変わったことを知っている。
「使ってみろ。あのカップルの少年も手術が終わったから出てくるだろう」
「こちらと向こうのどちらが現実なんですか?」
「どちらも現実だ」
「と言うことは私の過去はもうないんですね?」
「昔の君はもう死んだのだ」
 そう言うと看護婦に何やら注意をしてドアを出ていく。
「担当の医師?」
「いえ、ここの医院長よ。私もめったに会わないけどね。今退職願を出しているから次は来れないかもね。でもここを出る時は私たちみんな記憶を奪われるの」



2017/06/26 Mon. 05:37  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △

夢5 

 いつのも草むらの径を抜けて街に入る。周りを見渡すが人影がない。足は意志とは無関係にリビングを目指す。リビングに入るといつもの窓際の席に腰を掛ける。窓の外は隣の煉瓦造りのビルの壁があるがどこにも窓はない。そう言えばこのビル以外には出たことがない。
「敬は見ない?」
 隣にいるここでは最年長の女性に声をかける。隣にはカップルの男性がじろりと見る。
「手術をしていると言うことよ。あなたも久しぶりよ」
 時間の感覚がない。
「あなた達もう隣の部屋に入った?」
「隣の部屋?」
「入ったことがないのね?ベットルームが4室あってね、もし何なら彼を貸すからどう?」
「いいです」
 私は敬の来るのを諦めてトイレに入る。うちから鍵をかけてセーターを捲って鏡に乳房を映しだす。まだ違和感がある。触ってみるとつんと乳首が立つ。恐る恐るスカートをおろしパンツを下げる。つるんとした狭間が見える。指先が震えている。この感触は初めてのものだ。
 これが私のクリトリスか。擦ってみるとぞくっと頭に痺れが走った。両指で拡げてみる。ピンク色のぬめりが伸びる。
「いつまでかかってるの!」
「ごめんなさい」
 ドアを開けると別の女性だ。
「変なことしてたんじゃ?」
「そんなこと!」
 だがまだ体に快感が残っている。








2017/06/25 Sun. 06:48  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △

夢4 

「どう?」
 看護婦が顔を覗き込む。
「どうって?」
「もう3日も寝ていたのよ」
「どうして?」
「体の手術があった。これで舐めてあげれなくなったわ」
「よく夢を見るんだけど、何だか夢でないような気持ちなんだ」
「そうね。ここにいるのも夢かもね」
 この話もいつ話したのかも覚えていない。
「私ね、あなたを最後にここをやめようかなと思っているの」
「何年いる?」
「そうね。もう5年になるかな。あなたで3人目よ」
「やめたらどうする?」
「私はスナックをやろうかと思っている。ここは金だけはいいからね。でもね」
 看護婦がカプセルの中の体を拭いている。あるべき突起物の感覚がない。
「ここだけの話だけどね。ここを出る時はね、頭のクリーニングをするのよ」
「頭のクリーニング?」
「ここでの記憶を消されるのよ」
「どうして?」
「そういう契約なの。でも記憶を消されるって怖いのよ」







2017/06/24 Sat. 06:08  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △

夢3 

「なぜ私のことゆかと呼ぶの?」
 ここに来て親しくなった敬と言う少年に尋ねる。彼は15歳と言う。私より2つ下だ。
「ゆかがここに連れてこられた日にその医師から紹介があった。だから僕の方がここでは先輩だと思うよ。だけど・・・」
「だけど何なの?」
「ここにいるみんなに言えることだけど、昔のことをほとんど覚えていない。現在にしても記憶が消えていくようだよ」
 敬たちが集まるのはリビングという場所だ。ここでコーヒーを飲み食事をとる。どういうわけかいつもここに来て座っている。この部屋には8人が同じ顔触れで集まっている。男女半々で上は24歳下は敬の15歳だ。この部屋にはトイレにも入り口にも鏡がある。私はゆかである自分の顔を見るが他人を見ているような気がする。だが女としては気に入っている。
「どうこの顔?」
「僕の好みだな。体もいいよ」
「敬は女の子のような顔してるね?」
 二人はここでは一番若い。
「ここに入る建物への径は草むらじゃないの?」
「いや違う。僕の場合は灰色の長い廊下だよ」
「違うところに住んでいるのかしら?」
「看護婦はいる?」
「いるよ。髪の毛を染めた女だよ」
 やはり看護婦はみな違うようだ。どれほど話していたのか敬も私も眠くなってきた。敬がぬすっと立ち上がってドアを出ていく。私が手を振ったが彼は振り返りもしない。そういう私もいつの間にか立ち上がっていてドアを開いている。目の前を草むらの径が続いている。







2017/06/23 Fri. 07:06  edit

Category: ミステリー

Thread: ミステリ - Janre: 小説・文学

tb: --  |  cm: 0

top △