ふたり

ゆかと敬は全く違う人生を歩んできて別々に死んだ。男と女が入れ替わり新しい人生が始まった。

本丸7 

 あのカップルが逮捕されたにもかかわらず、新聞にもどこにも載っていない。大阪に公安の力が入ったと言うことで私はまた車の乗せられて東京に向かう。
「あの二人はどこに運ばれたの?」
「私にも詳しいことは聞かされていないけど、特捜が身柄を確保したの。当然公安は取り返すために動いている」
「二つの警察が戦っているわけ?」
 警察無線が入る。
「公安の覆面が後ろを付いてきているどうします?」
 運転手の刑事が言う。冴が携帯で話をしている。
「次は浜松ね?どれくらいで着く?」
「20分ほどです」
「分かった。パトカーに捕まえてもらおう。だがここから下道を走るしかないな。スピードを落として」
 冴が独り言のように言う。公安の覆面が追い越し車線に出た。
「ようやくパトカーが2台来たわ」
 パトカーがマイクで側道に寄るに言う。側道に寄るとパトカーに挟まれた形になる。スピードは敢えて落とされて70キロくらいで走っている。当然公安の覆面がどんどん前に消えていく。10分後には挟まれたままパーキングに入る。そこから料金場を抜けずに一般道に降りる。
「どうする?」
「公安が東京出口を固めるだろう。しばらくこの辺りで時間を潰して再出発がいいのでは?」
 金子からのメールだ。
『小山と連絡が取れない。調べてくれ』
 冴に画面を見せる。彼女も本部に問合せしている。










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2017/05/01 Mon. 06:24  edit

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本丸6 

「敬、幽霊同士戦ってみるよ」
「ああ。どうすればいい?」
「あの二人の夢の中に入って草の径に引きずり込むのよ」
「そんなことできる?」
「分からない。でも広いところで戦っても力を使うだけな気がする。それと体のない同士でもパンチがきくのかしら?」
「でもゆかに抓られると痛い」
「でも敬に抓られても痛くない」
 いつの間にか通天閣の王将の碑のそばに立ている二人を見た。ほとんど同時に体の中に入る。いや体の中ではなく夢の中だ。私が入った女性の腕を引っ張って私の夢の径に引き込む。
「やはりここにいたのね?」
「なぜ逃げた?」
「殺し屋の集団よ」
「そんなことはどうでもいい。成功すれば大きなマンションに住まわせてくれる」
 敬が必死で男を引っ張っている。私は相手の男に殴り掛かる。不思議に拳が当たった感覚がある。相手も殴り掛かるが私の中をすり抜ける。どうも私の方が完璧なんだ。
「敬手伝って。この二人を縛るのよ」
「そんなことができる?」
「夢の中でも心は縛れるのじゃないかと思うの」
「でもどうなる?」
「分からない」
 私はワゴンの中で目を覚ます。敬はまだ寝ている。
「どれほど寝てた?」
「5時間ほどだ」
「そんなに寝てた?冴は?」
「大阪で応援が取れたので『Mオフィス』に裏ビデオの捜査で入ると言っていた」







2017/04/30 Sun. 06:49  edit

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本丸5 

 敬に前も後ろも入れられ興奮した。陽が昇るまで続けていつの間にか眠った。やはり二人は体を触れ合うことで充電されているようだ。
 8時過ぎに金子がワゴンで現れた。その後ろに冴の車がある。私は眠そうな目で敬と車に乗り込む。『Mオファイス』のビルの地下の駐車場に停める。冴と金子がビルに入ってく。女刑事が2人こちらに移ってくる。見張ること1時間弱で冴から携帯が入る。今あの年上のカップルが入ったと言うのだ。
 私と敬はソファーに横になる。敬が体から出てくるのが遅いので、夢の中に入って連れ出す。次の瞬間『Mオファイス』の部屋の中にいる。見慣れた風景だ。応接に入るとあの二人が座っている。
「どうだ。二人はまだ見つからないのか?」
「今日から体を抜け出して目星を入れている通天閣の周辺を調べてみます」
 確かにあの二人だ。敬と私が顔を見合わせる。もう二人はソファに横になっている。テーブルの上の地図を覗き込む。シオンがいたカラオケ居酒屋の周辺にマークが入っている。私は慌てて敬の手を引っ張る。ここで体を抜け出して来たら顔を合わせてしまう。
「いたか?」
 金子が運転席に戻っている。
「今から通天閣に向かって」
「どうする?」
「彼らも体から抜け出せる。取りあえず能力を確かめてみる。冴は応援を頼めるかな?」
 冴えが助手に乗っている。
「どうするの?」
「今日ではなくていいの。二人の能力を確かめたら体を確保してほしいの。体を確保したら長期的には動けなくなる」
「でも体を抜け出すのじゃ?」
「でも体に帰らないと力が衰えてくるなずよ」
「分かった。本庁に相談してみる」













2017/04/29 Sat. 06:45  edit

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本丸4 

 公安との追跡劇でしばらく東京から姿を隠すことにした。それは言い訳で冴を口説いて大阪行きを認めさせたのだ。ワゴンには冴の他特捜の女性が2人が乗り込んだ。大阪には翌朝について阿倍野のホテルを隣同士で取った。その日『橋本』に冴と同席する。ここには2卓だけテーブルがある。前には金子探偵が座っている。
「さあ食べてよ。これは敬が作ったのよ」
とみよちゃんが運んでくる。ビールが抜かれて乾杯する。
「あの看護婦男にされていたよ」
「病院に潜ったのか?」
「ええ、あそこはもうすぐ福島に移動されるよ」
「どうする?」
「総理と反主流派の戦いになるよ。もう始まったけどね」
 テレビにその総理の顔が映っている。過去の予算を見直すと発言したようだ。
「どう美味しい?」
 敬が私の首に抱き付いている。久しぶりの匂いだ。
「明日は『Mオフィス』に忍び込む。そのためには東京からでは気力が続かないの。ここに体を置いていかなければね?それと敬の力も借りたい」
「いいよ」
「冴今日は敬と泊まるよ」
「いいわよ。昨夜頑張ったからね?今日は充電するのね?」
「なんだか卑猥な話をするな」
と一人金子が頭を掻いている。






2017/04/28 Fri. 06:44  edit

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本丸3 

『『Mオフィス』に似顔絵のカップルがいる。社員ではなく、毎日顔を出すがどこかを歩き回っている』
 金子から携帯がある。
『敬はどうしてる?』
『体の調子が今一で自転車を乗るのは休んで調理場に入っている』
 一度大阪に戻ろうと思った。どうも体を合わせていないと体調がおかしくなるようだ。私も同様の症状が出ている。私達は二人で生きていくように作られているのだろう。
 今日は冴と特捜班2名と車に乗って内閣府に行く。この段取りで内閣府顧問が動いていた。今日は内閣府は特捜チーム30人が警備をしている。
「ここからは私も入れないのよ」
と言って冴が手を振る。
 部屋には内閣府顧問が横の席に掛けている。腕時計を見ている。部屋に入って30分が経っている。ドアが開いてテレビでよく見る総理の顔が入ってくる。
「君が男の子だったゆかというのだね?」
「はい」
「何とか君たちを無駄にしない結果に結び付けたいし、今のようなことは辞めさせたい。だが」
「総裁選があるのですね?」
「これは一部のものしか?」
「私はどこにでも行けるのです」
 たった10分の対談だった。内閣府を出ると急に黒い車がぶつけてきた。私の載っている車は細い路地を曲がって猛スピードで走る。後ろには3台が追いかけてきている。さらに路地を曲がるとその後ろにダンプカーが挟まった。どうも想定内のことだったらしい。








2017/04/27 Thu. 06:47  edit

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